今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第6回は、昨年の日本レースクイーン大賞新人部門グランプリを獲得したあのんチャンが登場。レースの魅力にはまったあのんチャンのファンへの想いとは?
RQインタビュー 2021 Vol.6 あのん
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Satoru Tabuchi
6月4日より2021年の日本レースクイーン大賞新人部門の投票がスタートした。ファン投票で人気No.1レースクイーンを決めるこのイベント。2020年の日本レースクイーン大賞 新人部門では、ITOCHU ENEX IMPUL LADYのあのんさんが見事グランプリに輝いた。
今年もITOCHU ENEX IMPUL LADYを務めるあのんさんは、レースクイーン・オブ・ザ・イヤー20-21も受賞し、週刊誌の表紙やグラビアを飾るなど期待のレースクイーンとして注目を集めている。
元はモデルやイメージガール、アイドルとしても活動していたあのんさんだが、レースクイーンを目指すきっかけとなったのが、実は“ギャルズパランダイス”だったという。
「3年目にギャルズ・パラダイスを事務所で見つけたんですね。それでパラパラと見ていたら『すごい! レースクイーンさんって輝いている』と思いました。当時はレースクイーンのことについて知らないことが多かったので、事務所の人に聞いたら『レースクイーンってめちゃくちゃ楽しいよ!』と言われて、自分もやりたいと思いました」
「でも、それが4月だったんです。もうシーズンが始まっちゃったんですよね。だから『ガーーン……』ってなったのを覚えています(苦笑)」
それでも、レースクイーンになることを諦めずに、2020年にはITOCHU ENEX IMPUL LADYに選ばれ、スーパーGTとスーパーフォーミュラのレースに行くことが決定した。ところが、今度は新型コロナウイルスの流行により、現場に入れる人数制限の関係で、レースクイーンの活動に大きな制限がかかってしまったのだ。
その影響でスーパーGTに行けたのは最終戦富士のみだったが、スーパーフォーミュラはシーズンの途中から参加することができた。初めて現場に行ったのは第3戦SUGOで、モータースポーツを見るのは、もちろん初めてのこと。目の前で起こる光景ひとつひとつが、彼女にとっては新鮮であり、感動の連続だったという。
「初めて来た時は、(コロナ禍による人数制限の影響で)レースクイーンさんがあまりいなくて、それこそドライバーさんとかクルマをずっと見ていました」
「本当、初歩的なんですけど……チームによってクルマのカラーリングが違うのとかも全然知らなくて、まずそこから感動しましたね」
「いちばん印象に残ったのが、走行を終えた後のドライバーさんです。けっこう汗をかいているのとかを見て『こんなに体力使ってるんだ!』というのがわかりました。そういう発見がひとつひとつあって、『レースってめちゃくちゃ面白いんだな!!』と思いましたし、昨年のレースを見て行くうちに、ゴールするのは本当に難しいんだなとめちゃくちゃ思いました」
レース中も、応援しているチームなど関係なく、事あるごとに一喜一憂するあのんさん。時には他のチームにアクシデントやトラブルがあった時も、『えー!!』と大きなリアクションをとってしまうため、周囲から驚かれることも少なくなかったようだ。
今ではレースの魅力にどっぷりとハマり、自らレースのことについて調べて勉強することが日課となっているとのこと。それを自分の知識として留めるのではなく、ファンにも共有することも欠かさない。特に レースクイーン目当てでサーキットに来たファンの人に、少しでもレースを楽しんでもらうために、SNSを活用した情報発信を常に心がけている。
「(ハマったものは)めちゃくちゃ調べますね! もう、ひたすら検索しています。そこで調べたものを自分なりにまとめて、シェアするというのが好きですね」
「でも、ファンの人の中には(レースのことが)全然わからないという人もいたんですよ。RQ大賞だと投票の仕方とか新人部門のこととかもわからないという人もいました。レース観戦も同じで、サーキットに来ても、どうすればいいかわからないという人がいて……そういうのを解決できるものを、ひらすら調べて発信していました」
「例えばチケットの発売がけっこう早いから、なかには乗り遅れている人もいたりとかして……そこもいろいろ調べていますね」
「あと“初心者の方がわかりやすいように”というのを心がけています。スーパーGTとかだったらGT300クラスとGT500クラスは何が違って、どうやって見分けるの? というところも紹介しています」
「私自身も最初はまったくわからなくて『なんで300と500ってわかれているの? どうやって見分けるの?』と思っていて、それがわからないと観戦していても楽しくないかなと思って……。ファンの皆さんに、もっと知ってもらって観戦してほしいなと思いました」
「特に昨年は、コロナの影響でファンの人となかなか会えない中で、現地に来て投票してくださる方もいました。その時に『(ファンの皆さんが)なんで自分ってサーキットに来ているんだろう?』ってならないためにも、やっぱりレースを見てほしいなと思っています」
「だから、レースの説明もちゃんとして、その上で投票のことも発信して……。あくまでも『レースが楽しい!』と思ってもらって、そこから付いてきてもらうような発信をずっと心がけています」
常にファンへの気配りや、SNSでの細かな発信を怠らない あのんさんなのだが、もちろんレースクイーンとしての業務も日々研究し、周りの先輩方の行動を参考にして、自身のレベルアップを心がけている。
「やっぱり、先輩の方たちを見ると『カッコいいな!!』と毎回思います……。なんであんなにカッコいいんだろうと自分なりにいろいろ調べたら、チームの色に合わせるというのも重要なんだなと思いました。そのチームに合わせてカッコいい系でいくのか、かわいい系でいくのかとか。あとは立ち方とかポーズとかもどんなのが良いかとか、いつも考えています」
「ITOCHU ENEX IMPUL LADYでも独自でやっているポーズが昨年からあるので、それを浸透させようと頑張っています!」
こうした努力の積み重ねが、コロナ禍でイベントが制限される特殊な状況下だった2020年に、新人部門グランプリやレースクイーン・オブ・ザ・イヤーを獲得するに至った最大の理由なのかもしれない。
自身の飛躍はこれからだと考えているあのんさん。これからも、ファンの皆さんにサーキットで過ごす週末を、より思い出に残る、楽しいものにできるよう一層努力していきたいと力強く語ってくれた。
「今の時代、(サーキットに)来たくても来られない方が多いと聞いています。そういう方に『今、サーキットではこういうことが起きていて、こうなっていて……』というのを伝えたりとか、『ここで観戦できるよ!ここでグッズが買えるよ!』とか、サーキットに来たときのことをイメージしてもらいたいなという気持ちが大きいです」
「サーキットに来たことがない人でも『いつかはサーキットに行きたい!』『コロナ禍が終わったら行こう!』と思ってもらえるように頑張りたいです」
「そして、サーキットでレースクイーンやクルマを撮ってもらったり、レースをしっかり観てもらったりして、『サーキットって楽しかったな!』とファンの皆さんに思ってもらいたいです。レースが終わって、皆さんがお家に帰る時に、ちょっとでもレースクイーンのことが頭の中に残ってくれるような……そんなレースクイーンになりたいですね」
「私個人がレースを楽しむというのもそうなんですけど……やっぱりレースクイーンとしては“みんなに楽しんでもらいたい!”と常に思っています」
とにかく元気いっぱいというキャラクターなのだが、いざレースが始まると、わからないことは積極的に周りに聞いて勉強しようとする姿勢も印象的だ。
実際に、このインタビュー取材が終わった後も、レースのことについて根掘り葉掘りと“逆取材”を受けたほど……(汗)。コロナ禍で、観戦環境という点では今でも制限の多い国内モータースポーツだが、そんな中でもファンを盛り上げてくれる存在になってくれそうだ。
■コスチュームギャラリー/あのん
■2021レースクイーンインタビュー
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