2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第2回目のレースクイーンは、日本レースクイーン大賞を3度受賞したトップレースクイーンのひとり、生田ちむチャン。彼女が後輩に伝えたいモータースポーツ愛とは?
RQインタビュー 2022 Vol.2 生田ちむ
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
レースクイーンを目指すきっかけは様々だが、最近増えているのがモータースポーツが好きでレースクイーンを目指す人だ。コロナ禍前はプライベートで自身が担当していないカテゴリーの観戦のため、サーキットに足を運ぶという人もいるほど。
現在も“モータースポーツ好き”で知られるレースクイーンはたくさんいる。なかでも熱狂的にハマっているのが、2022年もOwltech Ladyとして活動する生田ちむさんだ。
2015年にレースクイーンデビューした生田さん。もともとモデルやコンパニオンの仕事をしている中で、レースクイーンのオーディションを受けている人の話を聞く機会があり、この仕事に興味を持ったという。
「一緒に仕事をしていた人のなかにレースクイーンのオーディションを受けている人がいて、いろいろ話を聞いているうちに興味をもって、踏み込んでみようと思いました。だから最初は『どういう世界なんだろう?』という興味は尽きなかったです!」
そう笑顔で語り出した生田さん。そこからモータースポーツのことについても、自分で調べながら知識を深めていき、知れば知るほど“レースの魅力”に惹かれていったという。
「正直……『これはハマるぞ!』という感じでした(笑)。サーキットでもレース中はモニターの前に居座って、ずっと観ていましたね。それを遠くから見たファンの人たちも『あの子すごいな』と思われていたかも知れません。やっぱり、自分のチームのクルマが追い抜くところをみるとテンションが上がりますし、モニターに映るだけでも『イケイケ!』というふうになるので……(笑)。楽しいですね!」
「最近ではすっかり趣味のひとつになっていて、ついつい夢中になって応援してしまいます。2021シーズンでいうと、39号車が第5戦SUGOのQ1でトップタイムを出した時に、号泣してしまいました(苦笑)。ポールポジションじゃないから堪えなきゃと思っていたんですけど、ついつい感情移入して観てしまいますね」
活動当初から自身のブログでレースの感想を綴っていた生田さんだが、徐々に“より多くの人にこの魅力を伝えたい”と思うようになり、レース前には見どころなどブログで紹介するなど、自身からの発信に力を入れるようになっていた。
それが高じて、スーパーGTに関してはレースを終えて帰宅した後に、録画してあった中継をもとに“振り返り”をすることも日課になったという。
「この世界の楽しさをもっと多くの人に伝えたいなと思いました。最初の頃は、その時の感情をブログに書いていただけで、ちゃんとしたレースブログにはなっていませんでした。それこそ『音がすごい!』とかでしたけど、自分でいろいろ調べていくうちに、載せることも増えていったみたいな感じですね」
「やっぱり現地で観ていると、その時は気づかないこととか分からないことも多いので、レースが終わって家に帰ってから、録画していた中継をもう一度じっくり見たり、ネットに出ている記事も読んで勉強していました」
そんな生田さんにレースの魅力を聞くと、いちばんに挙げたのはマシンのカッコよさだった。
「(魅力は)いっぱいあって、悩ましんですけど……。GTのマシンが走っている姿が、純粋に観ていてめちゃくちゃカッコイイなと思うんですよ。『何を普通なことを言っているんだ』と怒られるかもしれませんけど、生でマシンを見るとカッコいいですし、それだけでテンションが上がります。もちろん走っている姿は迫力があって、オーバーテイクもたくさんあるので、いつも興奮しています」
「あと、スーパーGTでは『こんなことがあるんだ!』ということが起きたりして、最後まで目が離せないですし……。挙げはじめたらきりがないくらい、たくさんの魅力があります!」
シーズンを重ねるたびにレースにハマっていった生田さん。ついにはF1日本GPにも観戦に行くようになった。そこにはスーパーGTをはじめ日本国内のレースとは違う雰囲気があり、楽しむことができたという。
「F1は鈴鹿に2回くらい観に行きました! めちゃくちゃカッコよくて、ハマりますね。ひとりで観に行くということで、心細いところはあったんですけど、F1の雰囲気は“外国”みたいで、みんな仲間で盛り上がっていて、お祭りみたいな感じでした。それも、すごく居心地が良かったです」
レースクイーンとしての活躍も著しく日本レースクイーン大賞では2017年から2019年に3年連続で大賞を受賞し、経験と実績を積んでいるのだが、その中で2021シーズンに新たな発見があった。それがGR86/BRZレースとの出会いだ。
今まで観てきた規模の大きなレースとは違い、アマチュアドライバーも参戦するなど、参加型レースとして知られるカテゴリーなのだが、そこでのゆったりとした雰囲気も気に入っているという。
「86/BRZレースは、こじんまりとやっているレースなのかなという印象がありましたけど、いざ携わると、すごくアツいレースが繰り広げられていて、スーパーGTに参戦されているような豪華なドライバーさんもたくさん参戦されていて楽しいです」
「さらにパドックも“テント村”みたいな感じで、ドライバーさん同士の普段見られないリラックスした姿が見られて、スーパーGTではなかなか見られないような雰囲気がいいです。今、個人的にオススメしているレースのひとつですね」
そのGR86/BRZレースでは、モデルやタレントとして芸能界で活躍している大原がおりさんと矢部美穂さんとともに2021シーズンの各サーキットをまわった。レースクイーンの経験としては生田さんの方が上ではあるが、ふたりの大先輩から学ぶことは多かったという。
大原さんと矢部さんと一緒にやらさせていただいて、学ぶことが多かったです。最初のレースの時からすごいなと思っていたんですけど、日を重ねるごとに素晴らしい人だなと思いました。
「普段から、周りをすごく見ていらっしゃっていて、自分からどんどん声をかけたり、常に周りを気にかけていらっしゃる姿はすごいなと思いました。私自身もレースクイーンは何年かやらさせていただいていますが、新たなことを気づかされた1年でした」
「そこは私もやっていきたいなと思いました。今ではレースクイーンとしても人としても、おふたりのことは尊敬しています」
またひとつ中身の濃いシーズンを過ごした生田さん。2022年もOwltech Ladyの継続が決まり、より視野を広げた活動と発信を心がけていきたいと、すでに新たな目標ができているようだった。
「いろいろなジャンルの人と関わる機会もあるので、そこで出会った人たちにレースのこととかレースクイーンのことをどんどん発信していけたらなと思っています」
「もうちょっと視野を広げて活動していきたいと思います。それで、ひとりでも多くの人がレースに興味を持ってくれて、ゆくゆくはサーキットに来て欲しいですね。そういうところも大切にしていきたいなと思います」
2021年は、貴重な経験を積むことができた生田さん。2022年も引き続きOwltech Ladyを務めるのだが、相方がレースクイーン初挑戦の七瀬はるかさんとなり、初めて“先輩”という立場でサーキットに立つこととなる。
「今までは、どちらかというと先輩と組むことが多くて、まったく初めての子と組むのは私自身も初経験になります」
「どういう感じで、教えていったほうが良いのか、どうしたら楽しんでもらえるのかというのを……ずっと考えていますね。『このサイト見ておくと面白いいよ!』と、情報を共有したりしています」
「ただ、あまりやりすぎると“うるさいセンパイ”になってしまうので……(苦笑)。その加減が難しいなと思っています。でも、レースのことを知っているほうが絶対に楽しいですし、私も新鮮な気持ちで今シーズンに臨めています!」
今年はコスチュームの色も一新され、気持ちも新たにしているという生田さん。しばらく続いていたコロナ禍の制限も少しずつ緩和方向に向かっており、より多くのファンと交流し、レースの魅力を発信していきたいと、意気込みを披露した。
「コロナ禍の制限も少しずつ和らいでいて、お客様の顔も近くで見られるようになってきました。これを機に皆さんとの交流が少しずつ増えていければなと思っています。(コロナ禍で)サーキットからちょっと離れていた方にも、また来てもらえるように、私自身も発信を頑張っていきたいですし、新しくモータースポーツに興味を持ってもらえる方が増えるような発信をしていきたいです」
「また私自身として、Owltech Ladyとして2年目になるので、先輩として後輩のはるかちゃんを支えつつ、1年間楽しく応援をしていきたいなと思っています!」
トップレースクイーンのひとりとして今年もサーキットに立つ生田ちむさん。彼女の活躍に注目だ。
■2022レースクイーンインタビュー
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