今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」

 2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第4回目のレースクイーンは、人気レースクイーンとして活躍する今井みどりチャンが登場。日本レースクイーン大賞を受賞した彼女の新たな願いとは?
 
 

RQインタビュー 2022 Vol.4 今井みどり

Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru

 2022年もスーパーGTではENEOS GIRLSとして、スーパーフォーミュラではルーキープリティとして活躍する今井みどりさん。今年でレースクイーン7シーズン目を迎えるのだが、最近ではサーキットに行くたびにレースのことが好きになっているという。
 

スーパーGTではENEOS GIRLSを務める今井みどりチャン

 

スーパーフォーミュラではルーキープリティを務める

 今年1月、東京オートサロン2022で行われた日本レースクイーン大賞2021表彰式では、念願の日本レースクイーン大賞を受賞。ステージでスピーチをした際は、涙を流しながら、ファンやお世話になった人に感謝の気持ちを伝えていた今井さん。あれから数カ月が経ち、新たな気持ちで2022シーズンを迎えている。

「昨年は『日本レースクイーン大賞を絶対に獲るぞ!』という気持ちでシーズン開幕を迎え、皆さんの応援もあって、念願のレースクイーン大賞を獲ることができました。今年も同じチームを継続をさせていただいたので、恩返しの年にしたいなと思っています。それが昨年の開幕とは心境が違うかな」

「レースクイーンも長く続けているので、ここ数年応援してくれているファンの方たちが『本当に良かったね!』って喜んでくれて、私もホッとしました」

 日本レースクイーン大賞を受賞したことでひとつ肩の荷が降りたのか、1年前と比べると、どことなく穏やかな表情を浮かべる今井さん。

 2016年にレースクイーンデビューを果たし、今年で7シーズン目に突入するのだが、初年度からスーパーGTでは常にGT500クラスのトヨタ/レクサス系チームを担当している。

 デビュー当初はレースにあまり興味がなくあっという間にシーズンが過ぎていったという。

「もともとイベントコンパニオンのバイトをしていた時に、レースクイーンの方と一緒にお仕事をすることがあって『レースクイーンという職業があるんだ!』というのを初めて知りました」

「ちょうど1個だけオーディションを受けられる機会があったので、『受けてみよう』という感じでいったら運良く受かりました」

「レースクイーンをやる前は、それこそスーパーGTがどういうレースなのかも知らなくて……、『ヒールの高いブーツで、サーキットを歩き回って大変だなぁ』とか思っていました(苦笑)。本当に1年目は、何もわからないまま終わりましたね。でも、同じチームのZENTsweetiesの皆さんに憧れたのもあって、2年目以降も続けられたと思います」

 2年目以降もレースクイーンとして活動を続けた今井さん。転機が訪れたのは2018年、 国内モータースポーツ界では超名門であるTOM’Sのレースクイーンに選ばれ、活動をすることになったのだ。

「TOM’Sはレースで速くて強いチームで、そこで2018年と2019年にKeePerのレースクイーンをさせていただきました。それが(レースに興味を持った)きっかけだったと思います」

「毎戦、TOM’Sの方がレースを解説をしてくれるんです。レースクイーンの控え室にきてくれて、『今回の作戦』とか『タイヤのこと』とかを全部わかりやすく説明してくれました。それでレースのことがわかるようになりましたね」

「自分のチームが接戦で争っていると、気がついたら熱くなって応援するようになりました。けっこう負けず嫌いなところもあるので、めちゃくちゃ応援します」

 レース中の応援にも自然と力が入るようになっていた今井さん。ただ、KeePer Angelsを務めた2シーズンはチームにとって非常に悔しい結果だった。

 2018年のKeePer TOM’S LC500は平川亮/ニック・キャシディのコンビで臨んだが、RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)と最終戦で一騎打ちのバトルを繰り広げたが、わずかに届かなかった。

 翌2019年も最終戦で37号車が優勝を飾るが、2位に入ったWAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太)が2ポイントで上回り、再びチャンピオン争いで敗れることに。

 当時はコロナ禍前だったこともあり、レース後には、コメントを求めて多くメディアがドライバーを囲んでいたが、そのドライバーに傘をさしながら、悔しさを押し堪えて業務をこなしていた今井さんがいた。

「2年とも最終戦でチャンピオン争いをしていて……、あの2年間は両方とも悔しくて、泣きました」

 そして2020年。今井さんは、デビューイヤーの頃に掲げていた夢を叶えた。憧れだったZENTsweetiesのメンバーに選ばれたのだ。そこで新たな経験も積み、自身の成長につなげることができたという。

「ちょうどコロナ禍が始まった年で大変なこともありました。でも、ずっとやりたいと思っていたチームに入れたことがすごく嬉しかったです!」

「ZENTsweetiesは昔からすごく人気ユニットなんです。メンバーの中でレースクイーン歴もいちばん長いということもあり、リーダーを任されました」

「今までは末っ子みたいな立場でやってきたから、リーダーを務めたことで、普通にやっていたら経験できないようなこととか、気持ちや考え方も変わって、それを自分自身の成長につなげられたと思っています」

 翌2021年は、ENEOS GIRLSに抜擢される。

 かつてスーパーGTでは名門のひとつと言われたENEOS GIRLS。スポンサーであるENEOSが6年ぶりにスーパーGTでスポンサードを行い、その復帰1年目のENEOS GIRLSを務めることに重圧も感じていたようだ。

 「2021年はENEOSさんが6年ぶりにスーパーGTに復帰されるということで、開幕前からすごく注目されていたチームでした。最初は不安もありましたけど、チームがすごくアットホームで、毎戦楽しかったです」と今井さん。

 マシンカラーと同じ、オレンジとゴールドのコスチュームに身を包んだENEOS GIRLSは、サーキットでもひと際目立つ存在となった。

 その年、強い想いで挑んだ日本レースクイーン大賞でも人気を集め、今井さんは念願の日本レースクイーン大賞を受賞する。

「レースではたくさんの感動や、悔しい思いをした時もあり、一喜一憂したシーズンを過ごさせていただきました。ENEOS GIRLSが復活した記念すべき年に、日本レースクイーン大賞を受賞するという結果を残すことができて、本当に良かったです」
 

MediBang日本レースクイーン大賞で大賞の表彰式で喜びをコメントする今井みどりチャン


 
 大きな目標を達成した今井さんだが、大好きなレースの世界でもうひとつ見たい光景があるという。それは自身が応援するチームがシリーズチャンピオンを勝ち取ることだ。

「チームがチャンピオンを獲る姿が見たいです! そうなるように私も全力で応援したいです」

「2021年も初戦は優勝して良い感じのスタートを切りました。最終戦も『いけるかな?』と思わせてくれたんですが……。結果としては悔しかったですけど、チームの皆さんと共に、中身の濃い楽しい1年を過ごすことができました」

「今年も14号車は開幕戦でポール・トゥ・ウインを達成したので『今年こそは!』と期待しています!」

「それと同時に、コロナ禍だからこそ、大好きなサーキットでお仕事ができるいう機会を大切にして、サーキットでしか感じられない楽しさを、より噛み締めていきたいなと思っています」

 レースクイーン初年度の頃とは違い、今ではレースの魅力にハマった今井さん。2020年にコロナ禍でレースクイーンがサーキットに行けなかった時も、J SPORTSオンデマンドに登録して、自宅でレース観戦をしていたとのこと。サーキットで活躍する今井さんがきっかけとなり、家族もレース観戦を始めるようになったと話す。

「家族も、最初は私を見にきていたんですけど、そのうちレースにハマっちゃって、昨年はスーパーフォーミュラとスーパーGTの2カテゴリーでSUGOやもてぎに観戦に行っていました」

「この前も『今度は鈴鹿観戦デビューするよ!』って、お父さんのテンションが上がっていて……そういうのを聞くと嬉しいですね! 海外ラウンドが復活したら『そこも観にいきたい!』と張り切っています(笑)」

「いつになるかわかりませんが、私がレースクイーンを卒業した後も、変わらずサーキットにレースを観にいきたいですし、その時は家族と一緒に観戦したいですね!」

 レースクイーンという仕事をきっかけに、今ではレースを観ることが日常の楽しみのひとつになっている今井さんだが、何よりも今シーズンのTGR TEAM ENEOS ROOKIEとROOKIE Racingを全力で応援しつつ、サーキットでの活動を存分に楽しみたいと、より一層気合いが入っている様子だった。
 

■2022コスチュームギャラリー/今井みどり

 
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