まさに“勝利の女神”という活躍ぶりの宮瀬七海「RQ1年目の私に教えてくあげたいくらい!」

 今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第15回は、Mobil1レースクイーンとD’stationフレッシュエンジェルズを2年連続で務める宮瀬七海チャンが登場します。人気ユニットを務めるまでに成長した彼女の想いとは?
 
 

RQインタビュー 2021 Vol.15 宮瀬七海

Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru / Yoshita Tomohiro

 2021シーズンもスーパーGTとスーパーフォーミュラではMobil1レースクイーンとして、スーパー耐久ではD’stationフレッシュエンジェルズとして活躍中の宮瀬七海さん。レースクイーン6年目を迎え、今ではトップユニットにも所属するなど、一目置かれる存在となっている。
 

2年連続でMobil1レースクイーンを務める宮瀬七海チャン

2年連続でMobil1レースクイーンを務める宮瀬七海チャン


 
 2016年にレースクイーンデビューを果たした宮瀬さん。もともと父がクルマ好きで、子どもの頃は一緒にスーパーGTの観戦にも来ていたという。

「物心がつくまえからサーキットに行っていたので……それこそ、小さい女の子といえばリカちゃん人形で遊ぶというイメージがありますが、私の場合はクルマのおもちゃで遊ぶのが好きな子でした。それから(人気マンガ/アニメの)頭文字Dにもハマって、スポーツカーの名前も覚えるようになっていました」

「高校を卒業して進路をどうするかってなった時に、最初は整備士の学校に行きたいなと思っていました。でも、高校生の頃に爪とかも可愛くしていたから(周りの人から)“君みたいな子は絶対に整備士は無理だよ”と言われて(苦笑)。

「整備士は諦めて別の学校に進学したんですけど、それでもクルマに携わりたいという想いは変わっていませんでした。その時に、レースクイーンという職業を知って『やりたい!』と思ったんです」

 レースクイーンとしてモータースポーツに携わることを決めた宮瀬さんだが、デビュー当初は厳しい現実に向き合うことになった。

「1年目とか2年目は本当にキツかったですね。オーディションもいっぱい受けて、いっぱい落ちました。でも、今思えば、それも納得できるというか、当時の自分に言い聞かせたい気持ちです」

「あの頃は自己PRも下手だったし、髪の巻き方とかメイクの仕方もうまくできていないところがあって、マネージャーさんにイチから教えてもらいました」

「すごくヘコんだ時もありましたけど、まわりの皆さんのおかげもあって、ちゃんと頑張ろうという気持ちになれました。いろいろな方に支えられて、けっこう恵まれていたなと思います」

「そこから自分磨きも頑張りました。最初の頃はポチャっとしていたんですが、ダイエットもしましたし、メイクとか髪色の勉強もしましたね」

 思うような成果が得られず、デビュー当初は落ち込む日々を過ごしていたという宮瀬さんだが、地道な努力を重ねていき、昨年ついにMobil 1レースクイーンに就任した。

 過去にはトップレースクイーンが活躍してきたレースクイーン界では名門ユニットのひとつであるのだが、宮瀬さんはこれまで培ってきた“自分らしさ”を前面に出し、サーキットでは元気よく活動している印象だ。

「最初はプレッシャーもありましたけど、『先輩たちの真似をするんじゃなくて、自分たちらしく、自分たちの色で頑張って』とモービルの方に言っていただけたので、それを大事にしています。歴代の伝統を背負いつつも、私らしく“元気”を前面に出す感じで……今は『あざと可愛い』担当で頑張っています!」

 同時にMobil1レースクイーンになったことで、宮瀬さんはもうひとつの“夢”も叶えたという。

「実はお父さんがGT-Rに乗っていて、私が小さい頃もチャイルドシートをつけて乗せてくれていたんですね。それくらい、お父さんはニッサンが大好きなんです」

「いつか私もニッサンのチームのレースクイーンになりたいと思っていましたが、今はこうしてMobil1レースクイーンとして、カルソニック IMPUL GT-Rの一員になって……その夢も叶えることができました」

 さらにスーパー耐久でD’STATIONフレッシュエンジェルズも2020年から務めている宮瀬さん。こちらでも、ずっと叶えたかった夢が実現している。
 

D'stationフレッシュエンジェルズでは、あざとカワイイキャラも定着!?

D’stationフレッシュエンジェルズでは、あざとカワイイキャラも定着!?


 
「私は踊ったりするのが好きなので、ステージの時間がすごく幸せな時間になっています。今はコロナ禍でいろいろな制限はありますけど、ファンの人たちとの一体感みたいなものはすごく好きです。ドリフトエンジェルス時代もそうですけど、ステージに立たせていただいたことは、私のレースクイーン人生の中で、本当に忘れられない瞬間なんです!」

 興奮気味に話す表情からは、ここまでの自身の頑張りを、どこか誇らしく思っている印象だった。

 そんな宮瀬さんだが、今シーズンは“勝利の女神”と言っても良いほど、彼女がレースクイーンを務めるチームが活躍している。スーパーGTではカルソニック IMPUL GT-Rが第5戦SUGOで5年ぶりの優勝を飾り、宮瀬さんも大号泣していた。

 Mobil 1がサポートするSTANLEY NSX-GTが第4戦もてぎで優勝、ARTA NSX-GTも第6戦オートポリス、第7戦もてぎで連勝を飾るなど、快進撃が続いている。
 

スーパーGTでは、12号車を担当する宮瀬七海チャン

スーパーGTでは、12号車を担当する宮瀬七海チャン


 
 スーパー耐久ではD’station Vantage GT3がST-Xクラスでシリーズチャンピオンを獲得。そして、先日のスーパーフォーミュラ最終戦ではcarenex TEAM IMPULが、11年ぶりにチームタイトルを手にした。

 その瞬間すべてを現場で応援していた宮瀬さん。今まで経験してきた表彰台や優勝とは違った特別な瞬間を味わうことができたという。

「応援しているチームが表彰台に上がっている姿を見るのが、今年に入ってすごく多いです。チームのレースクイーンとしても嬉しいですし、いちレースファンとしても嬉しいです。こんなことが起きていいのかと思うくらい……いいことが巡っている気がします」

「スーパー耐久の時もそうですし、スーパーフォーミュラの時も泣きましたね。あらためてシリーズのチャンピオンを獲るというのは、ひとつのレースの優勝とは違うなと感じました!」

「もちろんシリーズチャンピオンを獲るのは大変なことですし、裏側ではいろんなことがあったんだろうなと想像して、なぜか私が号泣してしまっていました(笑)。 やりたいチームでレースクイーンができて、結果もすごく良くて……幸せです」

「特にスーパーフォーミュラは劇的な展開だったですし、私自身、IMPULというチームに憧れていた部分もありました。レースの時の真剣さがありますし、レース以外のときはすごくアットホームな感じがあって、すごく好きです」

「『やるときはやる!』という雰囲気ですし、その中で私たちも仲間として受け入れてくれている温かさがあって、大好きなチームで、応援にも自然と力が入ります。あのゴールの瞬間は……忘れられないです。感動しました!」

 今シーズンはチームやファンにたくさんの笑顔を届けた宮瀬さん。もちろん、自分自身のレースクイーン活動でも、さらに上を目指している。

「やっぱり、今の自分じゃまだ足りないと思っているから、もっと上を目指して……。(先輩たちは)まだまだ届かない存在なんですけど、これからも頑張って追いかけたいです!」

“努力は裏切らない”という言葉があるが、今年の宮瀬さんの輝きぶりをみていると、まさにそれを証明していると言っても、過言ではないかもしれない。

 
■2021コスチュームギャラリー/宮瀬七海


 
 
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.14 荒井つかさ/レーシングミクサポーターズと言えば“つっつ”。9年連続で務める荒井つかさ「ミクサポは私にとって第二の青春!」
Vol.13 鈴木志歩/レースファンからレースクイーン。そしてマネージャーにも挑戦する鈴木志歩「毎週末が楽しい!」
Vol.12 太田麻美/レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
Vol.11 霧島聖子/憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
Vol.4 引地裕美/憧れだった舞台に自分が立つ……フレッシュエンジェルズ2年目の引地裕美が常に心がけていること
Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”

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