2022/12/09
すべてはレースの魅力を知ってもらうため。マルチに活動する藤井マリーが貫く“ブレない想い”
2022シーズン、サーキットに登場したレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第9回目のレースクイーンは、スーパーGTでZENTsweetiesとして、スーパー耐久シリーズでraffinee Ladyとして活躍した藤井マリーチャンが登場。彼女が貫くレースクイーンの姿勢とは?
RQインタビュー 2022 Vol.9 藤井マリー
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
レースの週末になるとサーキットに登場して、様々な場面で活躍するレースクイーンたちだが、最近はグラビアやタレント活動など、レース以外の場面でも活躍の場を広げている。
その中でも、2022年はスーパーGTでZENTsweeties、スーパー耐久ではraffinee Ladyとして活躍した藤井マリーさんは、レースクイーンの仕事をする傍ら芸能界でも活動するなど忙しい日々を送っている。彼女の活動の中には“レースをもっと多くの人に知ってもらいたい”という想いが込められているという。
もともとはタレント活動を志望していたという藤井さん。事務所に入ったのが2017年だったのが、所属直後に代役としてレースクイーンをやってほしいという話が舞い込んで来たのが、サーキットに来るいちばん最初のきっかけとなった。
「最初は、自分の体つきとかを考えてグラビアアイドルを入り口にタレント活動ができればいいなと思って、事務所に入りました。それが2017年の8月です。事務所に入って1週間後にオーディションを受けて、シーズン途中だったのですがレースクイーンになることがすぐに決まって……その数日後にはサーキットに立っていましたね。だいぶ劇的なレースクイーンデビューでした(笑)」
レースクイーンの仕事が決まってから、サーキットに行くまでわずか数日しかなかったのだが“仕事に対して少しの妥協もしたくない”という藤井さんの信念もあり、限られた時間でレースのことを猛勉強。そこから、少しずつレースの魅力に惹かれていったという。
「レースには、そこまで興味はなかったんですが、スポーツ観戦はもともと好きでした。私はお父さんが野球の選手だったこともあって、自分でスポーツを観に行くことは好きだったんですけど、モータースポーツはまったく知らなかったです」
「だから、レースクイーンが決まったという連絡が来たその日に、書店に行ってスーパーフォーミュラとスーパーGTの雑誌を買いに行って、熟読しました。モータースポーツの雑誌は、いろいろなところに置いてあるわけではないので、大きな書店まで買いに行きました」
「私は社会人の経験もあったので、何かを学んだりとか、知っていることが多い方が、自分が仕事をしていて楽しいじゃないですか。私はそういうスタンスでやっているので、何も知らないままサーキットに行くのが本当に嫌だったんですよ」
「ちゃんと知った上で、自分がどういうポイントをみて、どういう風に楽しみたいかを考えてからサーキットに行きましたが……実際にレースを観てからはどハマりしちゃいましたね!」
そんな藤井さんがレースクイーン活動をする中で、思い出に残る1戦が訪れる。2017年のスーパーフォーミュラ第7戦SUGOだ。
このとき、藤井さんが応援しているITOCHU ENEX TEAM IMPULの関口雄飛が接戦を制して優勝を果たした。途中のピットストップの給油の際に燃料がこぼれるアクシデントが発生。これにより予定量の給油ができず、レース終盤は燃費走行を強いられた。
さらに背後からは現在F1で活躍するピエール・ガスリーが迫ってきたのだが、関口は最後まで隙を与えず、トップを守りきってチェッカーフラッグ。その大激戦に、サーキットは大いに湧き上がった。
それを目の当たりにした藤井さんは、スーパーフォーミュラへの関心が一気に高まり、翌年も自らレースクイーン活動の継続を事務所に志願した。
「SUGOのレースで、関口選手が勝ったのがすごく印象に残っていて、当時はスーパーGTよりもスーパーフォーミュラの方が(熱量が)圧倒的に上回っていました。『私、来年(のRQ活動は)フォーミュラだけでいいです!』というくらいの気持ちでいました」
「あと、その時はレース以外にもやりたいお仕事があったので、カテゴリーをひとつに絞って、恵比寿マスカッツの活動もやっていました」
2018年の途中から女性アイドルグループ『恵比寿マスカッツ』のメンバーになり、グラビアやタレントとしての活躍の場も広げていき、メディア露出の機会も増えた藤井さん。しかし、彼女の根底には“レースクイーンとしての活動”が軸になっていることはブレていなかった。
「あの時は(芸能活動をメインにしようと)そういうふうに見えていたかもしれないですね。ただ、その奥底には、なかなか一般的に知られないところがあるモータースポーツを、どうすれば知ってもらえるかな? 現状をどこから変えられるのかな? というのを、すごく意識していました」
「そこで、自分がタレントとして、テレビに出たりとか、アイドルとかグラビアで活動して行くことで、『藤井マリーって、レースクイーンをやっているんだ』と気づいてもらって、そこから『レースクイーンって、ハイレグじゃなくて、今はこういうコスチュームなんだ』というのを知る人もたくさんいると思います。そういうことをきっかけにして、モータースポーツを知ってもらえたらなという切り口を作ろうと(工夫を)始めたのが2019年でした」
2019年はスーパーGTやスーパーフォーミュラだけでなく、スーパー耐久、TCRジャパンシリーズに加え、86/BRZレースと多くのカテゴリーでレースクイーンを務めた藤井さん。
それだけでなく恵比寿マスカッツの活動を始めとした芸能活動にも継続して力を入れるなど、超多忙な日々を過ごしたが、その努力があったからこそ、藤井さんをきっかけに初めてサーキットに足を運ぶ人が増えたという。
「あの年はカテゴリーをたくさんやりながらも、空いている日は、タレントとかグラビアとか、他の活動をやりました。すごく忙しかったですけど、すごく楽しかったです。それで『初めてサーキットに来ました!』という方が、結構多くて、それは私をきっかけに知ってもらって、来てもらえるというのが、すごく嬉しかったです」
今も、サーキットに行くたびに新たな発見があり、レースに対する知識を深めている藤井さん。そんな彼女が思う“モータースポーツの魅力”について聞いてみた。
「ドライバーの皆さんは普段からSNSをやっていたりとか、けっこう表に出る機会がすごく多いと思いますが、チームの中のメカニックさんやエンジニアさんのところに、レースクイーンを長く続けていくほど、目が行くようになりました」
「例えば、一般的には“あの選手はすごく速い”という印象があっても、その裏には“チームがしっかりクルマを作ってくれている”ということがあります。逆に何かミスやクラッシュ、トラブルがあったりしても、ドライバーさんだけが悪いのではなくてメカさんやエンジニアさんが、それらをしっかりを受け止めて、次のレースに備えて修復したりとか……すごく影で支えているんだなとレースクイーンとしてチームの近くにいて、それを強く感じます」
「“みんなでひとつのチーム”という感じなんですよね。モータースポーツを個人技のように見えるかもしれないですけど、そうではありません。表からは見えないところなんですけど『チームの中の人たちも、みんな頑張っているんだよ! それがあるからこそ、ドライバーさんたちがうまく走ることができて、ドライバーさんの技量を発揮できるクルマを作ってくれるチームがあるからこそなんだよ!』と……」
「そういうことを『どうすればもっと発信できるかな?』と考えながら、レースクイーンをやらせていただいています」
こうして、藤井さんが感じているレースの魅力を、より多くの人に発信していくためにも、レースクイーン以外の仕事も継続して力を入れている。
「デビューした時は、トップレースクイーンになりたいとか、レースクイーンとして有名になりたいと思っていなくて、それこそ日本レースクイーン大賞に挑戦したのも、昨年が初めてでした」
「応援しているチームのことを発信する発信源として、何かを届けられるようになれたらなという気持ちは強いです。だからこそ、レースクイーン以外の仕事も手を抜きたくないですし、そこで大きくならないと、もっと発信できないと思っています。今はその気持ちで、タレントやグラビアもそうですし、今はお芝居のお仕事も始めようと思っています」
「結局、その活動がレースにも繋がっていると思います。私のファンは、レースに興味を持ってくれている方がほとんどですが、その人たちも、他の業界で活躍することで私の作品を見てくださったりとか、業界を超えて相互効果でつながっていくなと感じていて……良いこと尽くしだなと思っています」
今までは、名門セルモをはじめ“プロのメカニック”たちを間近で見て来たのだが、2022年はスーパー耐久でST-3クラスに参戦するraffinee日産メカニックチャレンジZを応援するraffineeLadyとしても活動した。
ここは日産自動車大学校の生徒が過酷なレースの現場を体験し、自身のスキル向上につなげていくプログラムも導入されているが、“これからプロになろうとしているメカニック”たちをみて、「ピットとかでお会いしても、すごく謙虚でおとなしくて……すごく応援したくなっちゃいます(笑)」と藤井さん。スーパーGTとは違う目線で、チームを応援したくなる気持ちがあるという。
「いつもはカッコよくて頼りがいがあるメカさんたちなんですが、学生さんたちが一生懸命になっている姿をみると『ガンバレ!』と背中をおしたくなるような雰囲気ですね。毎戦何かを模索しながら、その中で新しい発見があって、成長していく……。そんな学生メカさんたちの姿を真後ろから見られるのは、特権だなと思います!」
その他にも、ここでは載せきれないほどのレース愛を語ってくれた藤井さん。ただ、それを“自分のもの”に留めるのではなく、“もっと多くの人に知ってほしい”という強い想いを胸に、今も多方面で挑戦を続けている。
藤井さんをはじめ、現在活躍しているレースクイーンの中には「レースの魅力をもっと伝えたい」という気持ちを持って活動している人がすごく増えている印象だ。コロナ禍の影響で、サーキット内でのイベント制限などが続いている状態ではあるが、彼女たちの想いが結果として現れてくれることを願いたい。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.8 七瀬なな/2022年の新人部門グランプリに輝いた七瀬ななが語る“今後の目標”「レースクイーンといえば……という存在になりたい!」
Vol.7 沙倉しずか/撮られるレースクイーンから撮るレースクイーンとなった沙倉しずか「撮られる側と撮る側、両方の“良さ”を味わえる」
Vol.6 神尾美月/日本レースクイーン大賞も受賞したトップレースクイーンの神尾美月「いちばん大好きなチームで卒業したいと思った」
Vol.5 南真琴/絶対に妥協しないプロ意識、南真琴「女子からも“カッコいい”と思ってもらえるレースクイーンでいたい」
Vol.4 今井みどり/今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」
Vol.3 葉月美優/サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/11/01
2022年の新人部門グランプリに輝いた七瀬ななが語る“今後の目標”「レースクイーンといえば……という存在になりたい!」
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第8回目のレースクイーンは、7月に日本レースクイーン大賞2022新人部門グランプリを獲得した七瀬ななチャンが登場。彼女が思い描く未来図とは?
RQインタビュー 2022 Vol.8 七瀬なな
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
毎年スーパーGTに初登場のレースクイーンが挑んでいる日本レースクイーン大賞新人部門。ファン投票で人気レースクイーンを決めるこのイベントで、2022年はエントリーした42名の中から、Pacific Fairiesの七瀬ななさんが新人部門グランプリに輝いた。
「(表彰から1カ月以上が経って)実感も湧いてきています。改めてみんなで頑張った結果だなと感じて、今も嬉しい気持ちでいっぱいです」と、表彰式のことを振り返る七瀬さん。
表彰式当日は、前年の新人グランプリに選ばれた同じPacific Fairiesの川瀬もえさんから発表があったのだが、名前が呼ばれた瞬間、七瀬さんは緊張の糸が切れたかのように大粒の涙を流した。
「あの時は(ステージに)立っているのもやっとなくらい緊張していました。発表の時にもえちゃん(川瀬もえさん)が、けっこう溜めて言ったので、心の中では『早く言って~』と思いながらいました。『七瀬ななさんです!』と名前が呼ばれた時は、嬉しさと安心感が同時に来て、泣いてしまいました(笑)」
「でも、こうして改めて振り返ると……投票期間はすごく長く感じました。ファンの皆さんとも『長いけど、頑張ろうね』と言いながら、過ごしていました」と、プレッシャーとの闘いだった投票期間を思い出しながら、笑顔で振り返る七瀬さん。
地元の福井県から今年3月に上京し、スーパーGTのレースクイーンデビューを果たした。もともとレースクイーンになりたいという想いはあったそうだが、スポットで参加したスーパー耐久の現場で、新たな目標が芽生えたという。
「最初はレースクイーンとして立てればいいなと思っていたのですが、スーパー耐久の現場だとスーパーGTで活躍されているレースクイーンの方々もいらっしゃって、そこで私も『スーパーGTのレースクイーンになりたいな、もっと頑張ろう!』と思ったのが、きっかけでした」
「やっぱり、スーパーGTでレースクイーンをしている方のところには写真を撮りにくるファンの方も多いですし、みんな凄く可愛くてキラキラしていました」
早速、今年はスーパーGTでレースクイーンを務めるチャンスを手にした七瀬さん。ただ、プライベートではレースに関わることがほとんどなく「小さい頃に、お父さんに連れられて鈴鹿サーキットにレースを観に行ったことがあります。ただ、けっこう小さかったのであまり覚えていないですし、すごく音が大きくて、泣いてしまったそうです(苦笑)」とのこと。
レースには、そこまで興味はなかったようだが、初めてスーパーGTの迫力やパドックに漂う緊張感を肌で感じ、徐々にその魅力に引き込まれ始めている様子だ。
「岡山の開幕戦で、初めてスーパーGTを観たときは『(クルマが)速いな!』と思いました。スーパー耐久もそうですけど、現場の緊張感もすごいので、私自身スーパーGTで初めてレースクイーンとして立ったときは、凄く緊張していました」
「スーパーGTは、お客さんも多いですし、私はコロナ禍のピットウォークしか経験していないのですが、それでも全然人の数が違いました。特に富士戦の時はグランドスタンドが埋まっていて『すごい!』と思いました」
「あと、スーパーGTは年間8戦しかないじゃないですか。その中の1戦1戦のために、チームの皆さんがすごく時間をかけて色んな調整をして、いろいろな方々が関わっていて、その一員になれているのがめちゃめちゃ嬉しいです」
「レースクイーンとしてでも『私も関わっているんだ!』と思うことはよくあります。チームの内側を見て、一緒に戦っている感覚を味わっています」
「それこそ、開幕戦は『ここにいていいのかな?』という感じでした。とにかく邪魔にならないようにしていましたけど、第2戦の富士からは自分から発信して、チームのことをもっと皆に知ってもらおうという気持ちになりました」
それと同時に、レースのルールやチームごとの戦略面にも興味を持ち始めているという七瀬さん。サーキットに行くたびに、知識も徐々に増えていっているとのことで、ファンとの会話でもレースの話をする機会が増えてきたとのことだ。
「予選にQ1とQ2があるなど、基本的なことはわかっていたのですが、その中でも天候に合わせてタイヤはこうした方が良いとか、そういう細かい戦略の部分とかも、(チームの人から)教えてもらったり、聞いたりしていて『レースって面白いな』と思うようになって、もっと深いところを見るようになりました」
「レースクイーンが好きなだけじゃなくて、レースが好きなファンの方もいて、撮影会の時とかにレースの話になるんですけど、『ななちゃん、レースのこと分かってきたね!』と言ってもらったりとか、そこからさらに深いことを教えてもらったりとかします」
「やっぱり、スーパーGTは必ず何か波乱があって、どこかのチームで何かトラブルが起こってしまいます。それがGTの特徴のひとつというか、ついつい注目して見てしまうところですね。なんでそれが起こってしまったのか?とか、そういうのは注目して最近は見ています」
「第4戦富士の時も9号車がトラブルで予選走れなくて、メカニックさんの頑張りで一晩かけて復活して、すごいなと思いました。私はその時、現地にいられなかったのですが、TwitterとかYouTubeとかを見て『決勝走れるんだ! すごい!』と思いながら、チェックしていました」
また、Pacific Fairiesのメンバーには、2021年の日本レースクイーン大賞で二冠を達成した川瀬さんがいる。何をやるにしても初めての経験で、戸惑ってばかりだったという七瀬さんだが、“頼れる先輩”のアドバイスも、かなりの助けになったという。
「3月のお披露目撮影会の時に初めて(川瀬)もえちゃんに会ったんですけど、その時は『……本物だ!』と、感動しました! そのときは緊張して、ちゃんと話しかけられなかったですね(苦笑)。でも、今では一緒にTik Tokを撮ったり、写真を撮ったりするような仲です」
「もえちゃんは、私が積極的に聞けないのを察してくれたのか『新人賞どう?』とか、もえちゃんの方から声をかけてくれました。『私の時はこういうことを頑張ったよ』とか、『ファンのみんなにも、こういうふうに協力してもらって……』と、いろいろアドバイスをしてくれました」
「私は、今まで賞レースとか、配信にも力を入れたことがなくて、まったく初めての経験ばかりで、何をしたらいいのかわからない状態でした。すごく事細かにアドバイスしてもらって、それ通りにやったことが結果につながったのかなと思います。これからも、もっともっといろいろなことを知っていきたいなと思います」
チームメイトの協力もあり、見事新人グランプリを勝ち取った七瀬さんだが、レースクイーンとしてのキャリアは始まったばかり。今後の目標について質問すると、このように語ってくれた。
「私は、ずっとレースクイーンをしたいなと思っています。まだまだ1年目ですけど、5年後も10年後も(レースクイーンを)できていたらいいなと思います。少なくとも5年後もやっていて、『レースクイーンといえば七瀬なな』という存在になりたいです」
これから、どのように成長を遂げて行くのか。七瀬さんの活躍から、目が離せない。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.7 沙倉しずか/撮られるレースクイーンから撮るレースクイーンとなった沙倉しずか「撮られる側と撮る側、両方の“良さ”を味わえる」
Vol.6 神尾美月/日本レースクイーン大賞も受賞したトップレースクイーンの神尾美月「いちばん大好きなチームで卒業したいと思った」
Vol.5 南真琴/絶対に妥協しないプロ意識、南真琴「女子からも“カッコいい”と思ってもらえるレースクイーンでいたい」
Vol.4 今井みどり/今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」
Vol.3 葉月美優/サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/10/27
撮られるレースクイーンから撮るレースクイーンとなった沙倉しずか「撮られる側と撮る側、両方の“良さ”を味わえる」
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第7回目のレースクイーンは、東京オートサロン2022イメージガールA-classとしても活躍した沙倉しずかチャンが登場。撮影する楽しさを知ったレースクイーンに迫ります。
RQインタビュー 2022 Vol.7 沙倉しずか
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
2022シーズンはスーパーGTのGT300クラスに参戦するArnage Racingを応援するArnage Lovely Catsとして活躍する沙倉しずかさん。
東京オートサロン2022のイメージガール「A-class」のメンバーに選ばれたほか、日本レースクイーン大賞2021でもファイナリストに残るなど、いま注目を集めているレースクイーンのひとりだ。
「A-classになり、レースクイーン大賞もあり、コスチューム部門もあったりと、2021年は1年中バタバタしていました」と、昨シーズンを振り返る沙倉さん。今までは、いわゆる“賞レース”への参加を辞退してきたというが、昨年は決意を固めて挑んだ。
「今までレースクイーン大賞は辞退していました。やる時はやる、やらない時はやらないと、メリハリをつけようと思っていたので。それでファンの人をあまり振り回したくないですからね。だから、2021年は一大決心のシーズンでしたね。9月のA-classセレクションの勢いをそのままに11月のレースクイーン大賞に挑みました」
「(ファイナリストになれたのは)ファンの皆さんの力でしかないので、感謝しかないです。初めて挑戦して、ファイナルまで行けたというのは、自分でもビックリでした。慌ただしかったですけど、充実した1年でした」
もともとはテレビなど芸能界での活躍を目指していた沙倉さん。同じ事務所でレースクイーンをしている子をみて、この仕事に興味を持ったという。
「レースクイーンを始めたきっかけが、もともとはテレビや芸能の方をやりたいなと思っていたのですけど、あまり向いていないのかなと思いつつ……。そんな時に、まわりの同じ事務所の子がレースクイーンをやっていて、すごい楽しそうだなと思って、オーディションを受けてみました」
「年齢が年齢だったので、すごい大変で、いっぱいオーディションに落ちましたけど、心は折れなかったですね。ずっと芸能界で(心が)折れ続けてきたので、そこは大丈夫でした(苦笑)」
当初はかなり苦労も多かったという沙倉さんだが、それでもレースクイーンという仕事を諦められない理由があった。
実は、2012年にスポットでスーパー耐久のレースクイーンを務め、その時のサーキットで経験したことが、今につながっているようだ。
「スポットでスーパー耐久のレースクイーンをさせていただいた時があって、その時にサーキットは楽しいなと思って、本格的に受けてみようと思いました」と、沙倉さんも笑顔で振り返る。
「初めてサーキットに来て驚いたのは……『音』ですね。今まで聞いたことがないような音で、圧倒されました。メカニックさんとかスタッフの方が緊張感を持って動かれているので『邪魔にならないようにしなきゃ』という感じでした」
そして、念願が叶い2017年から本格的にレースクイーン活動を始め、スーパーGT以外にも、スーパーフォーミュラやD1グランプリなど、数多くのカテゴリーで活躍した。
そんな沙倉さんだが、最近ではサーキットにミラーレスの一眼カメラを持参し、パドック内の移動中などに撮影を行っている。今ではプライベートでサーキットに来て、観客エリアからマシンの走行シーンの撮影にも挑戦しているのだ。
「プライベートでも4回目くらい撮りに行きました。ほとんど富士スピードウェイですけど、もてぎにも1回行きましたね。主にGTやS耐とかで撮った経験はあるんですが、スーパーフォーミュラはまだないです。撮りに行きたいなとは思っているんですが(クルマが)けっこう速いんですよね」
「(カメラに興味を持ったきっかけは)もともと食べ歩きが好きで、グルメ雑誌とか大人の週末とかを愛読していて、表紙とかを見ていて『こういうふうに“美味しそうに見える写真を撮りたいな”』と思ったのがきっかけでした。スマホとか普通のデジカメでも物足りなく感じて、自分でキヤノンのEOS M10を買いました」
「それをサーキットにも持ってきていて、最初はファンの顔と名前を覚えるのに撮影で使っていたんですけど、それでも物足りないと思って、2020年にフルサイズのカメラに買い替えたら、どんどん楽しくなっちゃって……今では走行写真とかも撮るようになっています」
カメラのことに関すると、ついつい話が止まらなくなる沙倉さん。今ではチームの許可を得て、ピット内からドライバー交代のシーンを撮影することもあるなど、どんどん写真撮影の魅力に引き込まれていっている様子だ。
「チームの方が迷惑にならない範囲であれば、ピットの中で写真を撮らせてくれたんです。S耐でもTCコルセでレースクイーンをさせていただいた時に『どんどん撮っていいよ!』って感じで……」
「(ピットガレージの中から)ドライバー交代とか、ピット内でのドライバーさんの写真を撮らせてもらいました。それをSNSでアップしたら、ドライバーさんが保存して使ってくれたりして『これは楽しいな』と思うようになりました。昨年からアルナージュでレースクイーンを務めていますが『どんどん撮っていいよ!』って、チームの方が言ってくださいました」
「今年、レンズを新しくして、今までは(焦点距離が)28mm-70mmだったんですけど、28mm-200mmにして、撮影の幅が広がりました。連写して、ほとんど失敗なんですけど、ピントが合った時の快感がすごいんですよね! あと、撮っている時は無心になれます。何も考えずに、それだけに集中できる……その時間が好きです!」
プライベートで走行シーンを撮りにいくときは、事前に大型の望遠レンズをレンタルしてサーキットに乗り込むほどの気合いの入りっぷり。
「(走行写真を撮る時は)大きな望遠レンズとかはレンタルして、一脚もつけて撮影します。願望としてはEOS R3がほしいですね」とのこと。
もちろん、本業であるレースクイーンについても、これからも活躍していく意向でおり、「ここまで来たら……それこそ年齢関係なく、続けられるところまでやりたいなと思っています。それだけ、今はサーキットにいるのが楽しいです」
「あとはカメラ女子としても、もっとレベルを上げていきたいです。ピット内とか、パドックとか、レースクイーンだからこそ見られる視点での写真を撮って、お客さんに発信していきたいなと思います」と、今後の抱負も話してくれた。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.6 神尾美月/日本レースクイーン大賞も受賞したトップレースクイーンの神尾美月「いちばん大好きなチームで卒業したいと思った」
Vol.5 南真琴/絶対に妥協しないプロ意識、南真琴「女子からも“カッコいい”と思ってもらえるレースクイーンでいたい」
Vol.4 今井みどり/今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」
Vol.3 葉月美優/サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/10/07
日本レースクイーン大賞も受賞したトップレースクイーンの神尾美月「いちばん大好きなチームで卒業したいと思った」
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第6回目のレースクイーンは、人気レースクイーンとして活躍する神尾美月チャンが登場。2022年いっぱいでレースクイーン卒業を発表している彼女の想いとは?
RQインタビュー 2022 Vol.6 神尾美月
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
レーシングドライバーが第一線を退く時がくるように、レースクイーンも卒業を迎える瞬間が必ずくる。以前はシーズンの最終戦で発表するケースが多かったが、最近では新体制が発表された時に「今年いっぱいで卒業します」とアナウンスするレースクイーンも増えてきた。今年で言うと、ARTA GALSを務める神尾美月さんがそうだ。
神尾さんがレースクイーンデビューを果たしたのは2016年。あのエヴァンゲリオンレースクイーンで真希波マリ・イラストリアス役でピンクのコスチュームを着て登場。スーパーGTのみならず、鈴鹿8時間耐久ロードレースでもレースクイーンを務め、大きな注目を集めた。
アニメのエヴァンゲリオンが好きだった神尾さんは、それがレースクイーンデビューのきっかけとなったと語る。
「もともとアニメが好きだったのですが、私の地元の九州でエヴァンゲリオンのイベントをやっていて『エヴァンゲリオンのレースクイーンがいるんだ!』というのを知りました。それが……最初のきっかけでしたね。オーディションを受けるとなると、事務所に入らなきゃいけないので、ギャルズ・パラダイスを見て探しました」
そう語る神尾さん。ちなみに推しのキャラクターはマリではないようだ。
「本当はマリって言いたかったんですけど……推しはアスカなんですよ(苦笑)。性格的にもアスカだねと周りからずっと言われていて『アスカがいいなぁ』と思っていたら……最終的にマリでした(笑)。それでも、すごく嬉しかったです」と、当時のことを話してくれた。
“エヴァンゲリオンつながり”でサーキットに来ることとなった神尾さん。当時はレースでの業務以外に専用のステージイベントや物販ブースでのサイン会もあるなど、忙しい週末を過ごしていたが、楽しい思い出ばかりだったという。
「初めてサーキットにきて『すごいな』と思いましたし、『レースクイーン楽しいな』って、毎回ワクワクしていました。エヴァの時もステージイベントがあったりして、ファンの皆さんもみんなエヴァが大好きな人で、ずっとエヴァの話ばかりしていました」
「あと、鈴鹿8耐にも応援にいきました! ナイトピットウォークがあって、エヴァのレースクイーンたちは水着のコスチュームとか、そこでしかお披露目されないようなものもあり、そこにたくさんのお客さんがきてくれて……なつかしいですね!」
「当時はお祭りみたいなレースが多くて、夜遅くまでサーキットにいることもあり、すごく楽しかったです。そう考えると、今はコロナ禍でイベントも減って、少し寂しいです」
翌年からは有名ユニットである「ドリフトエンジェルス」の一員となったほか、スーパーフォーミュラなど様々なカテゴリーでもレースクイーンを務め、活躍の場を広げていった神尾さん。2018年に WAKO’S GIRLSを務め、再び“ドリエン”となった2019年には日本レースクイーン大賞を受賞する。
「ドリエンの頃とかは『青春』でした。ダンスでもいつも叱られていましたし、当時のメンバーはレースの時以外にも会っていて、自主練で頑張った時もありました。時には漫才の練習もしたりして……本当に青春でしたね」
「その時は『なんでこんなに忙しいんだろう?』と思う時もありますけど、それがあるから今のスケジュールにも全然耐えられるし、体力の母体はできたと思います」と、当時を思い出しながら笑顔で振り返る。
そんな神尾さんに転機が訪れたのは、2020年。ARTA GALSの一員として選ばれたのだ。ここから、次第にレースのことにも興味を持ち、チームの応援にも熱が入っていく。
「レースのことが好きになったのは、ARTAに来てからですね。エヴァの時や、そのあとにドリエンをやった時も、基本的にレース中はステージイベントがあったりとかして、全然レースを見れていなかったんです」
「それこそ、ファンの人に『今何周目?』とか『今何位?』というのを確認していました。あの時も、レースのことは気になっていましたが、(ステージでの)ダンスのことで精一杯になっていましたね」
2020シーズンはコロナ禍が始まり、レースクイーンの活動にも様々な制限が出てしまったが、そのシーズンに神尾さんは“初めての1番”をチームとともに経験。それが、チーム愛をさらに加速させる瞬間にもなった。
「いちばん印象に残っているのは、2020年のもてぎ戦で8号車が優勝した時ですね。私がスーパーGTでレースクイーンをやっていて、応援しているチームが初めて1位になったんですよ」
「その時は『優勝するチームの一員なんだ』というのをすごく実感したのを覚えています。レースクイーン人生で初めてポールポジションのグリッドボードを初めて任されたのも、ARTAでした。こんなチームにいられるのは凄いことなんだなと思いました」
「レースを知らない人でも鈴木亜久里さんとか、土屋圭市さんのことを知っている人は多いと思います。『あのチームでレースクイーンをやっているんだ、すごいね!』という反応がくるくらいで、改めて名門チームだなと感じます」
「もちろん速いですし、すべてにおいてプロフェッショナルだなと思うことが多くて……。本当に『スゴい!』という言葉しか出てこないですね。だからこそ、私も応援を頑張らなきゃなと思うし、毎回レースになると気合いが入っています!」
「本当は5年くらいでレースクイーンを辞めるつもりだったんですけど、ARTAが好きで……『もう1年!もう1年!』ってやっているうちに、ここまで伸びちゃいました(笑)」
気がつけばARTA GALS 3年目を迎えた神尾さんだが、ついに一区切りをつけることを決断。昨シーズン、同ユニットを最後にレースクイーンを卒業した綾瀬まおさんと同じように“大好きなチームでレースクイーンを終えたい”という気持ちが強いのだという。
「辞めようかどうしようか迷った時期もありましたけど、まおちちゃん(綾瀬まおさん)みたいに、大好きなチームで(RQを)辞めたいなと思っていました。そして、それはシーズンの最初にきっぱりと言おうと決めていました」
「最近は、コロナ禍の影響もあって、多くのファンの人がサーキットに行く機会が減りつつあるなと感じています。そこで『今年が最後だから!』と言うことで、またサーキットに来てくれて、レースクイーンとしては最後となる私を見てほしいなという思いがありました。だから、シーズン前に自分から発表することにしました」
「改めて振り返ると、本当に楽しい7年間でした。毎回サーキットに行くのが楽しみで、その前の用意とかもワクワクしていましたが、来年からどうやって土日を過ごそうか……。そう考えると寂しいですね(苦笑)」
神尾さんがレースクイーンとして臨むサーキットも、残り1戦となった。大好きなARTAの優勝を願いつつ、笑顔でシーズンを終えたいと、神尾さんは力強く語った。
「最後はあまり泣きたくないので、笑顔で楽しく終わりたいですね。そして、最終戦はARTAに優勝をしてほしいです!」
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.5 南真琴/絶対に妥協しないプロ意識、南真琴「女子からも“カッコいい”と思ってもらえるレースクイーンでいたい」
Vol.4 今井みどり/今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」
Vol.3 葉月美優/サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/08/03
絶対に妥協しないプロ意識、南真琴「女子からも“カッコいい”と思ってもらえるレースクイーンでいたい」
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第5回目のレースクイーンは、人気レースクイーンとして活躍する南真琴チャンが登場。カッコいいコスチュームがお似合いの彼女が思うレースクイーン像とは?
RQインタビュー 2022 Vol.5 南真琴
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
昨今のレースクイーン業界では「かわいい系」のコスチュームが増え、これに合わせて可愛いキャラクターで持ち味とするレースクイーンも数多くいるが、それとは逆に“クールなスタイル”を押し通すレースクイーンもいる。
2022シーズンもスーパーGT GT300クラスに参戦するK-tunes racingを応援するレースクイーンユニット“Win G”を務める南真琴さんが、そのひとりだ。
今ではクール系レースクイーンを代表するひとりとも言える南さん。学生時代の2014年にレースクイーンデビューを果たしたのだが、最初のきっかけは“アニメ”だったという。
「もともとアニメが好きで、アニメのイベントに出るお姉さんになりたくて、この業界に入りました。最初はレースクイーンをやるつもりはなかったんですけど、事務所にオーディションの話がきて『記念に受けてみたら?』と言われて、受けることになりました」
「それがpacific fairiesだったんですけど、ちょうど私が大好きなアニメ『ラブライブ!』とタイアップしている時で、アニメが大好きだったこともあって、レースクイーンを始めたという感じです」
「アニメとのタイアップということで、チームの(レースクイーンの)みんなも『ラブライブ!』を知らない子が多くて……個人スポンサーの方も多かったので、『ラブライブ!』のことを知らない子は応援しづらいかなと思って、まずはみんなの知識の底上げから始めましたね(笑)」
「当時は大学生で、就職をする予定でもあったので、就活の期間も考慮して、“1年だけやる”ということで家族と約束して活動しました」
南さん本人も活動は1年だけと決めていたそうなのだが、翌年に人気ユニットのひとつであるSUBARU BRZ GALS“BREEZE”就任のチャンスを掴む。1年目は自分の好きなアニメとのタイアップが理由のひとつだったが、レースクイーンとしては“カッコよさ”を追求したいと考えていた。
「実はBREEZEのようなカッコいいコスチュームに憧れがありました。pacific fairiesは、すごくフリフリのコスチュームという感じだったので、『カッコいいレースクイーンをやりたいな』と思っていたところに、スバルさんからお話をいただきました」
「本当は1年だけの予定だったんですけど、『どうしてもやりたい』と親を説得して、就活をしながら2年目もレースクイーンとして活動しました」
当時はコロナ禍になる前ということで、レースウイーク中はピットウォークやスポンサーステージに加え、長距離レースの際はグランドスタンドで大旗を振って、スバルファンとともに応援するなど、様々な経験をした南さん。
「1年目は付いていくので精一杯でしたが、2年目にスバルに入ったことで、知識も増やさなきゃいけないし、より思い入れは深くなりましたね」と、当時を思い出し笑みがこぼれていた。
そこから、レースに対しても興味が湧くようになり、思い入れも強くなったという。特に2018年にLEON RACINGのレースクイーンを務めたときは、チームの一員として応援する楽しさを経験した。
「この年はLEON RACINGがGT300チャンピオンに輝いたんですけど、チームの一員として、応援するというのが、本当に楽しいなと思いました。今まではレースクイーンとチームは離して考えていた部分があったんですけど、この年は、チームの一員だという意識が、芽生えましたね」
「あと、今まで一緒になったチームの子がみんな大好きで、本当に楽しいんですよ。修学旅行じゃないですけど、1年間一緒に過ごしていくうちに、すごい大事な友達が増えていくというのは、人生の宝だなと思います」
「チームの一員として、応援するというのが、本当に楽しいなと思いました。今まではレースクイーンとチームは離して考えていた部分があったんですけど、この年は、チームの一員だという意識が、芽生えましたね」
そんな南さんだが、今ではもっと多くの人に“レースクイーンというカッコいい職業がある”ということを認知してもらうために、こだわりを持って活動している。
「レースクイーンはすごく特殊な業界というか、実際に何をやっているのかわからない人が多い中で、もっと外に向けて(RQの)認知を増やしていきたいです」
「特に最近はレースとか、クルマに興味がある若い子が減っている中で、せめて取っ掛かりでも作れればなと思っていますし、レースクイーンに憧れるような女の子が増えてくれたら嬉しいですね」
「例えば、一般社会で『お仕事は何をしているんですか?』と聞かれた時に『レースクイーンをやっています』と答えた時に、『それっぽいね!』と言われるようなスタイルとか見た目であるべきだなと思っています」
「そこはすごく考えていて、私は女性がいいなと思えるような、昔ながらのカッコいいレースクイーンを目指そうと思って、SNSではカッコイイ感じの写真を載せるようにして、『レースクイーンって、こんな仕事しているんだよ』と、レース業界だけじゃなくて、対外的に広められるようにブランディングを心がけています」
「もちろん、体型はレース前までに仕上げるようにしています。どうしても変動がありますが、そこはプロとしてレースまでにちゃんと痩せてきたりとか、そこは意識しています」
「レースクイーンの中で有名になろうというものではなくて、別に芸能人になりたいわけでもない。私は外に向けて発信していきたです。もちろん、私以外にも、もっとスタイルが良くて綺麗な子たちも多くて、高いプロ意識を持った子たちが集まっています」
「みんな、1年を通して同じ体型を維持しなきゃいけないし、常にSNSも発信しなきゃいけない。いろいろなスキルが求められる仕事だと思っています」
「その中で……私きっかけでいいから、そこからいろいろな子を見つけてほしいし、もっと一般の方たちにレースクイーンを知ってほしい。それを常に意識して、今は活動しています」
常に見られること、発信することを意識している南さん。今年も“魅せる”という部分で、新たな挑戦をしている。
「毎年、(チームの地元である)岡山特産のデニムをコスチュームの素材にしていたりとかしていましたけど、今年は“忍道”をテーマにしているので、鎖かたびらとか、足袋シューズとかを表しているコスチュームになっていて、なかなか特徴的ですね」
「私はカッコいい系のコスチュームが好きなので、どちらかというと自分の素のままでいけているかなと思いますけど、チームとしてコスチュームの見せたいところがいろいろあるので、そこは意識しています」
「例えば背中に漢字で“九十六”と入っているので、それを撮ってもらうために、みんなで後ろ向いたりするタイミングも作ったりします」
「ただ、かなり特徴的なコスチュームではあるので、お子さんとかもちょっと歩みづらいなとは……。そこはフレンドリーにじゃないですけど『怖いわけじゃないんだよ』という部分をアピールしつつも、レースクイーンとして恥じないように、1戦1戦活動していきたいなと思っています」
レースクイーンを始めた当初は学生だったこともあり、どちらかというと“バイト感覚”の気持ちが大きかったという南さん。今ではプロとして意識を高く持ち、シビアに自分を磨き続け、“女の子からも憧れられるレースクイーン”を今も追い求めている。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.4 今井みどり/今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」
Vol.3 葉月美優/サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/06/21
今では欠かせないレースクイーンに成長した今井みどり。次なる目標は「チームがチャンピオンになる瞬間を見たい!」
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第4回目のレースクイーンは、人気レースクイーンとして活躍する今井みどりチャンが登場。日本レースクイーン大賞を受賞した彼女の新たな願いとは?
RQインタビュー 2022 Vol.4 今井みどり
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
2022年もスーパーGTではENEOS GIRLSとして、スーパーフォーミュラではルーキープリティとして活躍する今井みどりさん。今年でレースクイーン7シーズン目を迎えるのだが、最近ではサーキットに行くたびにレースのことが好きになっているという。
今年1月、東京オートサロン2022で行われた日本レースクイーン大賞2021表彰式では、念願の日本レースクイーン大賞を受賞。ステージでスピーチをした際は、涙を流しながら、ファンやお世話になった人に感謝の気持ちを伝えていた今井さん。あれから数カ月が経ち、新たな気持ちで2022シーズンを迎えている。
「昨年は『日本レースクイーン大賞を絶対に獲るぞ!』という気持ちでシーズン開幕を迎え、皆さんの応援もあって、念願のレースクイーン大賞を獲ることができました。今年も同じチームを継続をさせていただいたので、恩返しの年にしたいなと思っています。それが昨年の開幕とは心境が違うかな」
「レースクイーンも長く続けているので、ここ数年応援してくれているファンの方たちが『本当に良かったね!』って喜んでくれて、私もホッとしました」
日本レースクイーン大賞を受賞したことでひとつ肩の荷が降りたのか、1年前と比べると、どことなく穏やかな表情を浮かべる今井さん。
2016年にレースクイーンデビューを果たし、今年で7シーズン目に突入するのだが、初年度からスーパーGTでは常にGT500クラスのトヨタ/レクサス系チームを担当している。
デビュー当初はレースにあまり興味がなくあっという間にシーズンが過ぎていったという。
「もともとイベントコンパニオンのバイトをしていた時に、レースクイーンの方と一緒にお仕事をすることがあって『レースクイーンという職業があるんだ!』というのを初めて知りました」
「ちょうど1個だけオーディションを受けられる機会があったので、『受けてみよう』という感じでいったら運良く受かりました」
「レースクイーンをやる前は、それこそスーパーGTがどういうレースなのかも知らなくて……、『ヒールの高いブーツで、サーキットを歩き回って大変だなぁ』とか思っていました(苦笑)。本当に1年目は、何もわからないまま終わりましたね。でも、同じチームのZENTsweetiesの皆さんに憧れたのもあって、2年目以降も続けられたと思います」
2年目以降もレースクイーンとして活動を続けた今井さん。転機が訪れたのは2018年、 国内モータースポーツ界では超名門であるTOM’Sのレースクイーンに選ばれ、活動をすることになったのだ。
「TOM’Sはレースで速くて強いチームで、そこで2018年と2019年にKeePerのレースクイーンをさせていただきました。それが(レースに興味を持った)きっかけだったと思います」
「毎戦、TOM’Sの方がレースを解説をしてくれるんです。レースクイーンの控え室にきてくれて、『今回の作戦』とか『タイヤのこと』とかを全部わかりやすく説明してくれました。それでレースのことがわかるようになりましたね」
「自分のチームが接戦で争っていると、気がついたら熱くなって応援するようになりました。けっこう負けず嫌いなところもあるので、めちゃくちゃ応援します」
レース中の応援にも自然と力が入るようになっていた今井さん。ただ、KeePer Angelsを務めた2シーズンはチームにとって非常に悔しい結果だった。
2018年のKeePer TOM’S LC500は平川亮/ニック・キャシディのコンビで臨んだが、RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)と最終戦で一騎打ちのバトルを繰り広げたが、わずかに届かなかった。
翌2019年も最終戦で37号車が優勝を飾るが、2位に入ったWAKO’S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太)が2ポイントで上回り、再びチャンピオン争いで敗れることに。
当時はコロナ禍前だったこともあり、レース後には、コメントを求めて多くメディアがドライバーを囲んでいたが、そのドライバーに傘をさしながら、悔しさを押し堪えて業務をこなしていた今井さんがいた。
「2年とも最終戦でチャンピオン争いをしていて……、あの2年間は両方とも悔しくて、泣きました」
そして2020年。今井さんは、デビューイヤーの頃に掲げていた夢を叶えた。憧れだったZENTsweetiesのメンバーに選ばれたのだ。そこで新たな経験も積み、自身の成長につなげることができたという。
「ちょうどコロナ禍が始まった年で大変なこともありました。でも、ずっとやりたいと思っていたチームに入れたことがすごく嬉しかったです!」
「ZENTsweetiesは昔からすごく人気ユニットなんです。メンバーの中でレースクイーン歴もいちばん長いということもあり、リーダーを任されました」
「今までは末っ子みたいな立場でやってきたから、リーダーを務めたことで、普通にやっていたら経験できないようなこととか、気持ちや考え方も変わって、それを自分自身の成長につなげられたと思っています」
翌2021年は、ENEOS GIRLSに抜擢される。
かつてスーパーGTでは名門のひとつと言われたENEOS GIRLS。スポンサーであるENEOSが6年ぶりにスーパーGTでスポンサードを行い、その復帰1年目のENEOS GIRLSを務めることに重圧も感じていたようだ。
「2021年はENEOSさんが6年ぶりにスーパーGTに復帰されるということで、開幕前からすごく注目されていたチームでした。最初は不安もありましたけど、チームがすごくアットホームで、毎戦楽しかったです」と今井さん。
マシンカラーと同じ、オレンジとゴールドのコスチュームに身を包んだENEOS GIRLSは、サーキットでもひと際目立つ存在となった。
その年、強い想いで挑んだ日本レースクイーン大賞でも人気を集め、今井さんは念願の日本レースクイーン大賞を受賞する。
「レースではたくさんの感動や、悔しい思いをした時もあり、一喜一憂したシーズンを過ごさせていただきました。ENEOS GIRLSが復活した記念すべき年に、日本レースクイーン大賞を受賞するという結果を残すことができて、本当に良かったです」
大きな目標を達成した今井さんだが、大好きなレースの世界でもうひとつ見たい光景があるという。それは自身が応援するチームがシリーズチャンピオンを勝ち取ることだ。
「チームがチャンピオンを獲る姿が見たいです! そうなるように私も全力で応援したいです」
「2021年も初戦は優勝して良い感じのスタートを切りました。最終戦も『いけるかな?』と思わせてくれたんですが……。結果としては悔しかったですけど、チームの皆さんと共に、中身の濃い楽しい1年を過ごすことができました」
「今年も14号車は開幕戦でポール・トゥ・ウインを達成したので『今年こそは!』と期待しています!」
「それと同時に、コロナ禍だからこそ、大好きなサーキットでお仕事ができるいう機会を大切にして、サーキットでしか感じられない楽しさを、より噛み締めていきたいなと思っています」
レースクイーン初年度の頃とは違い、今ではレースの魅力にハマった今井さん。2020年にコロナ禍でレースクイーンがサーキットに行けなかった時も、J SPORTSオンデマンドに登録して、自宅でレース観戦をしていたとのこと。サーキットで活躍する今井さんがきっかけとなり、家族もレース観戦を始めるようになったと話す。
「家族も、最初は私を見にきていたんですけど、そのうちレースにハマっちゃって、昨年はスーパーフォーミュラとスーパーGTの2カテゴリーでSUGOやもてぎに観戦に行っていました」
「この前も『今度は鈴鹿観戦デビューするよ!』って、お父さんのテンションが上がっていて……そういうのを聞くと嬉しいですね! 海外ラウンドが復活したら『そこも観にいきたい!』と張り切っています(笑)」
「いつになるかわかりませんが、私がレースクイーンを卒業した後も、変わらずサーキットにレースを観にいきたいですし、その時は家族と一緒に観戦したいですね!」
レースクイーンという仕事をきっかけに、今ではレースを観ることが日常の楽しみのひとつになっている今井さんだが、何よりも今シーズンのTGR TEAM ENEOS ROOKIEとROOKIE Racingを全力で応援しつつ、サーキットでの活動を存分に楽しみたいと、より一層気合いが入っている様子だった。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.3 葉月美優/サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/05/19
サーキット走行を楽しむバイク女子レースクイーン葉月美優「レース中はライン取りばかり気になります!」
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第3回目のレースクイーンは、muta racing fairiesとしてレースクイーン3年目を迎えた葉月美優チャンが登場。バイク女子の彼女が見たレースの世界とは?
RQインタビュー 2022 Vol.3 葉月美優
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru , Hazuki Miu
今年も国内の各カテゴリーで多数のレースクイーンが活躍しているのだが、最近ではレースに興味を持って、自ら積極的に情報収集をしたり、自動車の運転免許を取得する人も少なくない。
プライベートでもクルマやバイクを楽しむレースクイーンも増えているのだが、2022年もスーパーGTとスーパー耐久でmuta racing fairiesとして活躍する葉月美優さん。自らのオートバイでサーキット走行に挑戦する本格派だ。
2020年からレースクイーンデビューとして活動を開始している葉月さん。だが、実はそれ以前からバイクに興味があり、自ら乗りこなすべく、二輪の免許を取得したのが、最初のきっかけだったという。
「私はもともとバイクが好きで、乗れたらカッコいいなと思っていました。(家だったら)原付だった大丈夫だったんですけど、原付だと時速30kmまでと制限されていて、ちょっと嫌だなと思って……親に内緒で二輪の中型免許を勝手に取ってきちゃいました! もちろん、めちゃくちゃ怒られましたね(苦笑)」
最初は両親からだいぶ反対されたという葉月さんだが、バイクへの好奇心は止まることはない。オートバイ関係の雑誌にも度々出演するようになり、ついにはサーキットデビューも果たした。
「そこからバイクのお仕事もするようになって、ミニバイクのレースに出る企画があって、そこでサーキットを走って楽しいなと思いました。最初はやったことがないから不安だったんですけど、実際にやってみたらどハマりして……。そこから、どんどん進んでいった感じです(笑)」
「今はプライベートで中型のバイクを2台持っていて、そのうちの1台はサーキットでのスポーツ走行用に余分なパーツを外して軽くした仕様にしています。最近では大型(二輪)の免許もとりましたし、そろそろ大型のバイクもほしいなと思っています」
もちろん、2輪のレースも熱心に見ており、世界最高峰のMotoGPはもちろんのこと、Jスポーツで放送されているワールスーパーバイクも欠かさず観ているとのこと。ここ数年はコロナ禍で開催が見送られている鈴鹿8耐についても「いつか観に行きたいです!」と、目を輝かせながら語っていた。
そんな葉月さんが、レースクイーンを目指したきっかけが、写真展で出会った4輪レースのシーンだったという。
「レースの写真展があって、最初は2輪のレース写真を見に行ったんですけど、そこに4輪レースの写真も一緒に飾られていました。スーパー耐久富士24時間レースの夜の写真とか、他の4輪カテゴリーの迫力あるシーンとかがあって、そういうのに惹かれて『もっと近くで観たいな!』と思って、レースクイーンになろうと思いました」
その念願が叶い、2020年にレースクイーンデビューを果たした葉月さん。特に自身も走行経験のあるモビリティリゾートもてぎ(旧ツインリンクもてぎ)に行くと、“気になること”だらけだという。
「実際に走ったことがあるサーキットは、4輪のレースでも見ていて面白いですね。『こういうラインで走るんだ!』とか『ここでブレーキングして、ギアを落とすんだ!』というのとかを、ついついチェックしてしまいます!」
「やっぱり2輪とはラインどりも少し違いますし、ドライバーさんの話を聞いて、新たに気づく部分もあるので、そういう目線で見るのも面白いなと思って……。いつもドライバーさんの話とかに耳を傾けて聞いていますね(笑)」
「もちろんレースクイーンの業務はちゃんとこなさなきゃいけないですし、そこは意識できていますけど、レースを観るときのポイントは他の子とはちょっと違うのかなと思います」
ますますレースの魅力にハマっていっているという葉月さん。他の子とは違う視点で楽しんでいるからこそ、その面白さを少しでも多くの人に伝えていきたいと意気込んでいる。
「こういう面白さを伝えていきたいなとレースクイーンになってから思うようになりました。例えば、2輪に興味がある人を4輪にも引っ張ってこれたらいいなと思います。私にみたいに(4輪レースのことを)全然わからなかった人が、ここまで面白いと感じるようになったから、多分みんなもそう思ってもらえるかもしれないと考えています」
「実際に、以前から私のファンだった人の中にはレースに興味がないという人もいましたけど、私がレースクイーンになったことで、興味をもってくれてサーキットに行ってみようと思ってくれたり、Youtubeでレース映像を見てみようと思ってくれているらしくて、SNSで感想を伝えてくれる人が増えました。それを見て『興味を持ってくれているのかな』と感じることがあって、それは嬉しいです」
「でも、その伝え方は難しいなと思います。やっぱり、ルールがわかって、やっと面白くなるじゃないですか。ルールを教えたりしなければいけないときもあるし、それを自分でも分かっていなきゃいけないので……。どう発信していくのが良いのか、まだまだ考えなきゃいけないところなのかなと思っています」
レースのことになると、すっかり熱が入り、話が止まらない様子の葉月さん。今後もレースクイーンとして、レースの魅力を伝えつつ、自身のサーキット走行という点でも目標はたくさんあるという。
「今までは筑波やもてぎで走っていましたけど、他のコースも走ってみたいなと思います。特に岡山国際サーキットは面白そうだなと思いました。あと鈴鹿サーキットも難しいコーナーがあると聞くので、どんな感じなのか体験してみたいです!」
「あと4輪に関しては、レースがしたいなとは流石に思わないんですけど、マニュアルの免許がほしいなと思っています。今はオートマ限定なので、今度はマニュアルの免許を取って、運転してみたいという気持ちが高まっていますね!」
最近はレースが大好きで、自身が関わっていないカテゴリーをプライベートで観戦に行くレースクイーンも増えているのだが、自分自身でサーキットを走って、その経験を活かしているという人は少ない。
だからこそ、葉月さんが発信するレースの魅力というのは、いつもとは違った視点で楽しむことができるかもしれない。今シーズンの活躍に、ますます注目が集まりそうだ。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.2 生田ちむ/レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/05/07
レースマニアなレースクイーン生田ちむ。2021年の“貴重な経験”を活かし今シーズンに挑む
2022シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。2022年第2回目のレースクイーンは、日本レースクイーン大賞を3度受賞したトップレースクイーンのひとり、生田ちむチャン。彼女が後輩に伝えたいモータースポーツ愛とは?
RQインタビュー 2022 Vol.2 生田ちむ
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
レースクイーンを目指すきっかけは様々だが、最近増えているのがモータースポーツが好きでレースクイーンを目指す人だ。コロナ禍前はプライベートで自身が担当していないカテゴリーの観戦のため、サーキットに足を運ぶという人もいるほど。
現在も“モータースポーツ好き”で知られるレースクイーンはたくさんいる。なかでも熱狂的にハマっているのが、2022年もOwltech Ladyとして活動する生田ちむさんだ。
2015年にレースクイーンデビューした生田さん。もともとモデルやコンパニオンの仕事をしている中で、レースクイーンのオーディションを受けている人の話を聞く機会があり、この仕事に興味を持ったという。
「一緒に仕事をしていた人のなかにレースクイーンのオーディションを受けている人がいて、いろいろ話を聞いているうちに興味をもって、踏み込んでみようと思いました。だから最初は『どういう世界なんだろう?』という興味は尽きなかったです!」
そう笑顔で語り出した生田さん。そこからモータースポーツのことについても、自分で調べながら知識を深めていき、知れば知るほど“レースの魅力”に惹かれていったという。
「正直……『これはハマるぞ!』という感じでした(笑)。サーキットでもレース中はモニターの前に居座って、ずっと観ていましたね。それを遠くから見たファンの人たちも『あの子すごいな』と思われていたかも知れません。やっぱり、自分のチームのクルマが追い抜くところをみるとテンションが上がりますし、モニターに映るだけでも『イケイケ!』というふうになるので……(笑)。楽しいですね!」
「最近ではすっかり趣味のひとつになっていて、ついつい夢中になって応援してしまいます。2021シーズンでいうと、39号車が第5戦SUGOのQ1でトップタイムを出した時に、号泣してしまいました(苦笑)。ポールポジションじゃないから堪えなきゃと思っていたんですけど、ついつい感情移入して観てしまいますね」
活動当初から自身のブログでレースの感想を綴っていた生田さんだが、徐々に“より多くの人にこの魅力を伝えたい”と思うようになり、レース前には見どころなどブログで紹介するなど、自身からの発信に力を入れるようになっていた。
それが高じて、スーパーGTに関してはレースを終えて帰宅した後に、録画してあった中継をもとに“振り返り”をすることも日課になったという。
「この世界の楽しさをもっと多くの人に伝えたいなと思いました。最初の頃は、その時の感情をブログに書いていただけで、ちゃんとしたレースブログにはなっていませんでした。それこそ『音がすごい!』とかでしたけど、自分でいろいろ調べていくうちに、載せることも増えていったみたいな感じですね」
「やっぱり現地で観ていると、その時は気づかないこととか分からないことも多いので、レースが終わって家に帰ってから、録画していた中継をもう一度じっくり見たり、ネットに出ている記事も読んで勉強していました」
そんな生田さんにレースの魅力を聞くと、いちばんに挙げたのはマシンのカッコよさだった。
「(魅力は)いっぱいあって、悩ましんですけど……。GTのマシンが走っている姿が、純粋に観ていてめちゃくちゃカッコイイなと思うんですよ。『何を普通なことを言っているんだ』と怒られるかもしれませんけど、生でマシンを見るとカッコいいですし、それだけでテンションが上がります。もちろん走っている姿は迫力があって、オーバーテイクもたくさんあるので、いつも興奮しています」
「あと、スーパーGTでは『こんなことがあるんだ!』ということが起きたりして、最後まで目が離せないですし……。挙げはじめたらきりがないくらい、たくさんの魅力があります!」
シーズンを重ねるたびにレースにハマっていった生田さん。ついにはF1日本GPにも観戦に行くようになった。そこにはスーパーGTをはじめ日本国内のレースとは違う雰囲気があり、楽しむことができたという。
「F1は鈴鹿に2回くらい観に行きました! めちゃくちゃカッコよくて、ハマりますね。ひとりで観に行くということで、心細いところはあったんですけど、F1の雰囲気は“外国”みたいで、みんな仲間で盛り上がっていて、お祭りみたいな感じでした。それも、すごく居心地が良かったです」
レースクイーンとしての活躍も著しく日本レースクイーン大賞では2017年から2019年に3年連続で大賞を受賞し、経験と実績を積んでいるのだが、その中で2021シーズンに新たな発見があった。それがGR86/BRZレースとの出会いだ。
今まで観てきた規模の大きなレースとは違い、アマチュアドライバーも参戦するなど、参加型レースとして知られるカテゴリーなのだが、そこでのゆったりとした雰囲気も気に入っているという。
「86/BRZレースは、こじんまりとやっているレースなのかなという印象がありましたけど、いざ携わると、すごくアツいレースが繰り広げられていて、スーパーGTに参戦されているような豪華なドライバーさんもたくさん参戦されていて楽しいです」
「さらにパドックも“テント村”みたいな感じで、ドライバーさん同士の普段見られないリラックスした姿が見られて、スーパーGTではなかなか見られないような雰囲気がいいです。今、個人的にオススメしているレースのひとつですね」
そのGR86/BRZレースでは、モデルやタレントとして芸能界で活躍している大原がおりさんと矢部美穂さんとともに2021シーズンの各サーキットをまわった。レースクイーンの経験としては生田さんの方が上ではあるが、ふたりの大先輩から学ぶことは多かったという。
大原さんと矢部さんと一緒にやらさせていただいて、学ぶことが多かったです。最初のレースの時からすごいなと思っていたんですけど、日を重ねるごとに素晴らしい人だなと思いました。
「普段から、周りをすごく見ていらっしゃっていて、自分からどんどん声をかけたり、常に周りを気にかけていらっしゃる姿はすごいなと思いました。私自身もレースクイーンは何年かやらさせていただいていますが、新たなことを気づかされた1年でした」
「そこは私もやっていきたいなと思いました。今ではレースクイーンとしても人としても、おふたりのことは尊敬しています」
またひとつ中身の濃いシーズンを過ごした生田さん。2022年もOwltech Ladyの継続が決まり、より視野を広げた活動と発信を心がけていきたいと、すでに新たな目標ができているようだった。
「いろいろなジャンルの人と関わる機会もあるので、そこで出会った人たちにレースのこととかレースクイーンのことをどんどん発信していけたらなと思っています」
「もうちょっと視野を広げて活動していきたいと思います。それで、ひとりでも多くの人がレースに興味を持ってくれて、ゆくゆくはサーキットに来て欲しいですね。そういうところも大切にしていきたいなと思います」
2021年は、貴重な経験を積むことができた生田さん。2022年も引き続きOwltech Ladyを務めるのだが、相方がレースクイーン初挑戦の七瀬はるかさんとなり、初めて“先輩”という立場でサーキットに立つこととなる。
「今までは、どちらかというと先輩と組むことが多くて、まったく初めての子と組むのは私自身も初経験になります」
「どういう感じで、教えていったほうが良いのか、どうしたら楽しんでもらえるのかというのを……ずっと考えていますね。『このサイト見ておくと面白いいよ!』と、情報を共有したりしています」
「ただ、あまりやりすぎると“うるさいセンパイ”になってしまうので……(苦笑)。その加減が難しいなと思っています。でも、レースのことを知っているほうが絶対に楽しいですし、私も新鮮な気持ちで今シーズンに臨めています!」
今年はコスチュームの色も一新され、気持ちも新たにしているという生田さん。しばらく続いていたコロナ禍の制限も少しずつ緩和方向に向かっており、より多くのファンと交流し、レースの魅力を発信していきたいと、意気込みを披露した。
「コロナ禍の制限も少しずつ和らいでいて、お客様の顔も近くで見られるようになってきました。これを機に皆さんとの交流が少しずつ増えていければなと思っています。(コロナ禍で)サーキットからちょっと離れていた方にも、また来てもらえるように、私自身も発信を頑張っていきたいですし、新しくモータースポーツに興味を持ってもらえる方が増えるような発信をしていきたいです」
「また私自身として、Owltech Ladyとして2年目になるので、先輩として後輩のはるかちゃんを支えつつ、1年間楽しく応援をしていきたいなと思っています!」
トップレースクイーンのひとりとして今年もサーキットに立つ生田ちむさん。彼女の活躍に注目だ。
■2022レースクイーンインタビュー
Vol.1 原あゆみ/「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/04/14
「このチームでの活動を通して地元福島の魅力を伝えたい!」レースクイーン3年目原あゆみの新たな挑戦
2022/01/21
【日本RQ大賞インタビュー】悔し涙から感謝の涙へ……織田真実那、目標には届かずも特別賞を受賞「ステージに立てて良かった」
2022/01/19
【日本RQ大賞グランプリインタビュー】「日本一のレースクイーンになる!」“新女王”川瀬もえの秘めたる想いと新たな決意
2022/01/19
【日本RQ大賞インタビュー】目標が叶った瞬間……念願のオートサロンステージに立った大賞受賞者たちの想い
2021/12/30
日本レースクイーン大賞2021新人部門グランプリの川瀬もえが語る“レースの魅力”「知れば知るほど面白い!」
2021シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第18回は、6・7月の日本レースクイーン大賞2021新人部門でグランプリを獲得した川瀬もえチャンが登場。彼女が感じたレースクイーンの魅力とは?
RQインタビュー 2021 Vol.18 川瀬もえ
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru,Yoshida Shigenobu
2021年の日本レースクイーン大賞新人部門で見事グランプリを獲得したPacific Fairiesの川瀬もえさん。憧れの先輩の背中を追いかけ、確固たる目標を掲げてレースクイーンとしての活動に力を注いでいる。
2021年シーズン、Pacific Fairiesのとしてレースクイーンデビューを果たした川瀬さん。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、サーキット内でのイベントが厳しく制限され、応援して頂いている方と直接触れ合う機会はなかったが、7月に行われた日本レースクイーン大賞2021新人部門での投票の際は、応援して頂いている方々と一体になって最後まで頑張ることができたという。
「新人部門の投票は全体で1カ月間で、長かったし、大変なこともあったんですけど、振り返ってみると、みんなでひとつの目標に向かって、応援してくれているみんなのために頑張れた1カ月間は……すごい青春みたいで楽しかったなと思います」
「応援してくれた人たちの熱量が本当に高くて、皆さんにここまで押し上げてもらったなと感じています。すごく貴重な体験をさせてもらいました」
新人グランプリ獲得の感想をこのように振り返った川瀬さん。だが、本人はスーパーGTの現場に興味を持つきっかけとなり、自身でも憧れの存在である“先輩”川崎あやさんの功績を追いかけたいと、さらに高い目標を抱いている。
「パシフィックのレースクイーンの先輩には川崎あやさんがいるんですけど、あやさんが現役時代にPacific Fairiesが新人部門、コスチューム部門、そして日本レースクイーン大賞でグランプリを獲得し三冠を獲ったんですよ。それって、あやさんたちしかでていないことです。なので少しでも、あやさんに近づきたいという思いがありました」
「最初の頃は新人部門のグランプリを獲りたいとかは最初から思っていなかったんですけど、すごい先輩が身近にいて、その先輩の背中を追いかけているうちに……(目標が)そうなった感じです」
川崎さんとは、プライベートでも交流があるという川瀬さん。そこでスーパーGTの話も聞き、ますます興味が湧いたという。
「あやさんから、コロナ禍前のサーキットが、どれだけ楽しかったのかをよく聞きました! 早く、そういうサーキットが味わえるようになりたいなと思うし、GTのレースクイーンをやっていた人でないとわからないこともあるので、それを自分に近い人から話を聞けるのはすごく嬉しいなと思います」
2021年は様々な制限がありコロナ前のようなピットウォークやグリッドウォークは実施されていないが、川瀬さんは今年初めて現場でみたスーパーGTのレースの魅力に取り憑かれている様子だ。
「もともとクルマにすごく興味があった方ではなくて『クルマ=乗り物』という感覚でしかありませんでした。でも、スーパーGTとか、クルマの大きなイベントは、たくさんの人が集まって、なかには遠くからはるばる来る人もいるほどのイベントです」
「その理由が、自分が間近で見させてもらって、やっとわかりました。ルールもある程度教えてもらいながらレースを見ると、より楽しく見られるし、やっぱり現場ならではの風、音、匂いとか……そういうのがあると、本当に面白いんだなと思いました」
「あと、私は普段から水色とか青とかが好きで、サーキットの中継映像で9号車パシフィックの青いクルマが映ると嬉しいですね。いっぱいカメラに抜かれてほしいなと思います!」
Pacific Fairiesが応援するPACIFIC NAC CARGUY Ferrariは、シーズン中に何度か上位に食い込むレースを見せたが、その中でも注目を集めたのが、川瀬さんがグリッドボードを担当した8月の第3戦鈴鹿。特にレース前半は手に汗握るトップ争いを繰り広げた。
「私が印象に残っているのが、8月の鈴鹿大会の時です。スタート位置が5番手で、バトルをしているところとかも、ずっと映っていたので、すごく嬉しかったですし、ハラハラドキドキしながら応援していました」
「その時は、みんな目をウルウルさせて、祈りながらモニターを見つめていました(笑)。みんなが仲間と言う感じで、ひとつになって応援している感じで、その雰囲気がすごくいいなと思いました」
「あと、その時はグリッドボードをやらせてもらって、すごく暑かったんですけど……(苦笑)。パシフィックを代表して立たせてもらっているなという責任感はありました」
「コロナ禍でレースクイーンも全員がサーキットに行けるわけではないですし、グリッドも確実にやれるわけはないです。その中で、鈴鹿サーキットという素晴らしい場所でグリッドを担当させてもらったのは良かったですし、スタート位置も良かったので、良い経験になりました」
「あとは、いつも応援して下さっている方が作ってくださった横断幕もすごく嬉しくて、いつも(自分の横断幕を)探してしまいます。いつも応援して頂いている皆さんから愛されているなって感じました!」
「レースクイーンをやるまで知らなかった楽しさとか、面白さみたいなことをたくさん経験できています。コロナ禍で制限はあるけど、いろいろ教えてもらって知ることができているので、すごく良い環境に居させてもらっているなと思います」
「コロナ禍で制限がかかっているぶん、状況が良くなって制限がなくなった時は、もっと楽しいんだろうなという期待も膨らんでいます。まだまだ“楽しみ!”という気持ちが大きいです!」
モータースポーツでは1台のマシンに多くの人が携わり、そこに多くの人が期待をかけ、声援を贈っている。そんな“みんなでひとつの目標に向かって頑張ること”を経験し、川瀬さん自身もレースクイーンの活動を通して、様々なことを学んでいるという。
「みんなと一緒に何かをやらせてもらうのって、こういうお仕事が初めてなんです。だから、ひとつの目標を目指して、みんなで応援したり、何かをするのって、すごく楽しいということを教えてもらった気がします」
「新人部門グランプリも、私が獲ったというよりも、応援してくれている方みんなと一緒に獲ったという感じでいます。だから、『新人賞は自分のものだ』という感覚はあまりありません。これも、ひとつのチームになって、みんなで頑張れたなと思っています」
「パシフィックレーシングの魅力はクルマもそうですけど、レースクイーンも、そのひとつだと思っています。私はパシフィックのレースクイーンは日本で一番と言うふうになりたいなと思っています。だから“レースクイーンで三冠を獲りたい”というのが、今の目標です」
タレントとして注目を浴びていた川瀬さん。2021年にレースクイーンデビューし、新人部門グランプリを獲得したことで、スーパーGTのパドックでも一段と注目を集めるようになった。
彼女の次の目標は、MediBang日本レースクイーン大賞2021でグランプリを獲得することだ。
「新人ながらファイナリストに残らせていただいたからには、必ず結果として残していきたいと思っています。Pacific Fairiesの一員として獲れたレースクイーン大賞だったと思えるように、ここから全力で頑張っていきたいです」と意気込みを語っている。
■2021コスチュームギャラリー/川瀬もえ
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.17 中村比菜/“自分のため”から“チームのため”へ……中村比菜が5年間のRQ生活で変わった心境と名門SARDへの想い
Vol.16 名取くるみ/父の影響でレースクイーンへ。日本RQ大賞新人部門受賞の名取くるみ「もっと経験を積んで、いろんな人に知ってもらいたい!」
Vol.15 宮瀬七海/まさに“勝利の女神”という活躍ぶりの宮瀬七海「RQ1年目の私に教えてくあげたいくらい!」
Vol.14 荒井つかさ/レーシングミクサポーターズと言えば“つっつ”。9年連続で務める荒井つかさ「ミクサポは私にとって第二の青春!」
Vol.13 鈴木志歩/レースファンからレースクイーン。そしてマネージャーにも挑戦する鈴木志歩「毎週末が楽しい!」
Vol.12 太田麻美/レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
Vol.11 霧島聖子/憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
Vol.4 引地裕美/憧れだった舞台に自分が立つ……フレッシュエンジェルズ2年目の引地裕美が常に心がけていること
Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/12/09
“自分のため”から“チームのため”へ……中村比菜が5年間のRQ生活で変わった心境と名門SARDへの想い
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第17回は、2021年でレースクイーン卒業を発表した中村比菜チャンが登場。5年間のレースクイーン活動で感じた想いとは?
RQインタビュー 2021 Vol.17 中村比菜
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
今シーズンもスーパーGTの舞台でレースクイーンとして活躍中の中村比菜さん。デビューイヤーからD’stationフレッシュエンジェルズのメンバーを務め、今ではTGR TEAM SARDを応援するKOBELCO GIRLSの“顔”として定着している。
スーパーGT最終戦前に自身のTwitterで今シーズン限りでのレースクイーン卒業を発表。レースクイーンとして最後のサーキットを笑顔と涙で終えた。
この5年間は、“自分のために頑張る”ということから“チームのため、仲間のために何かをしたい”と様々な心境の変化があったようだ。
もともとは、プロ野球の横浜DeNAベイスターズでチアリーダーとして活躍していた中村さん。コンパニオンとして出演した東京オートサロンで“歌って踊れるレースクイーン”を見たのが、レースクイーンデビューの最初のきっかけだったという。
「サーキットでも、歌って踊れるアイドルがいるというのを、東京オートサロンの時に初めて知りました。レースクイーンになると、地方に行って歌って踊ることができるので素敵だなと思いました。レースクイーンになりたいというよりは、そういうお仕事がしたかったので、オーディションを受けました」
「アイドル志望みたいな感じではあるんですけど、“応援すること”も大好きなので、チアリーダーの時もベイスターズを本気で応援していました。モータースポーツもそういうところが似ているなと思いました」
“歌って踊れるレースクイーン”を目指した中村さん。早速オーディションに挑戦し、見事合格したのがRQ界でトップユニットとして知られているD’stationフレッシュエンジェルズだった。
「当時のフレエン(フレッシュエンジェルズ)のメンバーは、レースクイーン大賞を獲る方たちばかりだったので、まだ新人で何の賞もとったことがない私が入れるとは思っていなかったんです。まさから1年目からフレエンになれるとは思いませんでした!」
そう当時のことを振り返る中村さん。期待に膨らんだレースクイーンデビュー戦だったが、そこに待っていたのは“過酷な現実”だった。
「ベイスターズ時代と違って、レースクイーンひとりひとりのファンが多くて、その時は4人メンバーだったんですけど、私以外のメンバーは、個々のファンがすごく多かったんです。2日間を終えてサーキットを出るときに、みんなはファンからいただいた大量のお土産を持っているのに、私がもらえたのはチョコレートふたつだけでした」
「最初の頃はサーキット内で移動する際も、他の人たちはファンの人たちに囲まれているのに、私はひとりぼっちで歩いていました。それがあまりにもショックで……。私の初めてのサーキットの印象は、それに支配されていますね(苦笑)」
「あまりにも寂し過ぎて、『どなたか、面倒を見てくれませんか……?』みたいな感じで、1年目の時に“おひな隊”を結成したんですよ。そうしたら、徐々に応援してくれる人が増えて、初期の頃からの“おひな隊メンバー”が今もずっと応援してくれています」
ファンが徐々に増えていき、2017年の日本レースクイーン大賞新人部門では準グランプリを獲得。さらに翌シーズンの日本レースクイーン大賞2018では、クリッカー賞と福岡アジアコレクション賞を獲得するなど、数々の実績を残していった。
しかし、彼女自身の中では“いちばんを獲れなかった”という悔しさが全面に出ていた。
「新人部門の授賞式の時、準グランプリで名前が呼ばれた時は一気に血の気が引いていったのを覚えています。応援してくれた人たちに申し訳ないなと思いました。みんなが一生懸命『グランプリを獲ってほしい』と応援してくれていたので、それが叶わなかったのが悔しくて、悲しくて……」
「2年目の時もレースクイーン大賞の5人の中に入りたくて頑張っていました。結果、クリッカー賞と福岡アジアコレクション賞をいただくことはできたんですけど……その時の本音としてはすごく悔しかったです」
「それでクリッカー賞の表彰を受けて、ステージ上で『悔しい』って言ったら、まわりからすごく怒られました。“おひな隊”の人たちからもめちゃくちゃ怒られて『クリッカー賞に選んでくれた方に失礼でしょ!』『悔しいって言っちゃダメだよ!』と、たくさん言われました」
「その時に改めて(大賞の)5人の中に入るための力量だけじゃなくて、精神的な部分も自分は備わっていなかったなと思いました。レースクイーンとしてスポンサー様のイメージを崩さないために、自分自身がもっとしっかりしないといけないなと思いました」
「だから3年目は、もう少し完璧な状態でレースクイーン大賞を目指そうと心に決めました」
そう決意して挑んだレースクイーン3年目。中村さんは、KOBELCO GIRLSに就任する。実はTEAM SARD加入時には、こんなエピソードがあった。
「お父さんがF1がすごく好きなんです。昔、地上波でF1の中継をしていた時に、夜中に一緒に観ていました。ヘイキ(コバライネン)選手のことも応援していました。まさか、こうして傘をさせる日が来るとは思ってもみませんでしたね!」
「だからSARDのレースクイーンに決まった時は、真っ先にお父さんに報告しなきゃ!ってなりました。お父さんもサーキットに来てくれて、ヘイキ選手に傘をさす姿を見て喜んでくれていたので、よかったです」
「あとは……SARDのレースクイーンなので大きな声では言えないんですが……(苦笑)。ジェンソン・バトン選手も大好きで、当時(写真を)額に入れて飾っていたんですよ! だから、バトン選手がスーパーGTに来た時もすごくビックリしました。改めてレースクイーンをやっていて、良かったなと思いましたね」
KOBELCO GIRLSとして活動した中村さんは、名門SARDのアットホームなチームの雰囲気にも影響され、次第に“自分のため”から“チームのため”という意識が強くなっていく。
「フレエンにいた時の2年間は、自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、SARDに来てからは『チームを応援したい』『チームのために何かをしたい』という気持ちが強くなりました」
だから、サーキットでSARDのピットシャツを着てくれる人気にしたいなと思いましたし、自分が広告塔になるわけだから、もっとしっかりしなきゃなと強く思うようになりました」
「そこで、けっこう変わりました。ちょうどSARDに入った年が、レースクイーンに対する考え方が大きく変わったタイミングでしたね」
「同じSARDのレースクイーンだったまっち(清瀬まちさん)と、こっとん(はらことはさん)にも、すごく助けてもらいました。レースクイーン3年目なのに、レースのことが全然わかっていませんでした」
「それこそ『セーフティカーって、何?』という状態で、ふたりに良く質問していたんですけど、(無知なことを)一切笑うことはなく、すごく丁寧に答えてくれました。だから、3年目は“みんな仲間”という感じが強かったです」
「ふたりのおかげで、どんどんレースにのめり込んで、より力を入れて応援するようになって、39号車が優勝した時は、毎回大号泣でしたね(笑)」
この2019年には、目標としていた日本レースクイーン大賞を受賞し、テレビ東京賞にも選ばれた中村さん。もちろん、彼女がデビューした時から望んでいた結果だったのだが、彼女の心の中は次なる目標である“チームへの恩返し”のための行動が始まっていた。それが、レースクイーンコスチュームの人気投票である日本レースクイーン大賞コスチューム部門でのSARD初戴冠だ。
「SARDがコスチュームグランプリを一度も獲ったことがないと知っていました。長い歴史があって有名なレースクイーンさんが何人も務めているのに、グランプリを獲ったことがなかったから“絶対に獲りたい!”と思って、みんなで頑張りました」
「私はSARDに入った1年目の時に体調不良で、十分に業務ができない時があったんですけど、それでも2年目の継続をいただいて……仲間として私のことを選んで使ってくれていたので、このチームに何としても恩返しがしたいと常に思っていました」
その想いが形となり、KOBELCO GIRLS/SARDイメージガールは、2020年の日本レースクイーン大賞コスチューム部門で見事グランプリを獲得する。
「やっぱりコスチュームグランプリを獲ると、そのチームのレースクイーンになりたいと思う子が増えるんですよね。女の子にもSARDの良さをもっと伝えられたらなと思って、頑張りました。実際にSARDのレースクイーンになりたいなと思ってくれる子が増えてくれれば嬉しいです」
「最初は、もっと他のチームのレースクイーンも興味がありましたが、いざSARDに入ってから、このチーム以外に考えられなくなりました」
「フレエンの時にスポンサーさんが『みんなに人気者になってほしい』と言ってくれなかったら、賞を獲ることができなかったと思いますし、SARDに入ることもできなかったと思います。だから、フレエンの時にお世話になった皆さんには、とても感謝しています」
「今はコロナ禍で、ファンの皆さんに直接会えないですけど、SARDのピットシャツを着てくれたり、帽子とかアイテムを身につけて応援してくれる方がすごく増えたと思います。本当に嬉しいですし、頑張って良かったなと思いました」
“自分のため”から“チームのため”に……。常に強い想いを胸に日々奮闘してきた中村さん。時にはうまくいかず悔しい思いをすることも少なくなかったが、最後はチームに大きく貢献する存在となっていた。そのことを自慢する様子もなく、謙虚に語ってくれていたが、その表情からは少し誇らしげな雰囲気を感じ取ることができた。
■2021コスチュームギャラリー/中村比菜
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.16 名取くるみ/父の影響でレースクイーンへ。日本RQ大賞新人部門受賞の名取くるみ「もっと経験を積んで、いろんな人に知ってもらいたい!」
Vol.15 宮瀬七海/まさに“勝利の女神”という活躍ぶりの宮瀬七海「RQ1年目の私に教えてくあげたいくらい!」
Vol.14 荒井つかさ/レーシングミクサポーターズと言えば“つっつ”。9年連続で務める荒井つかさ「ミクサポは私にとって第二の青春!」
Vol.13 鈴木志歩/レースファンからレースクイーン。そしてマネージャーにも挑戦する鈴木志歩「毎週末が楽しい!」
Vol.12 太田麻美/レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
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Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
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Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
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Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/12/03
父の影響でレースクイーンへ。日本RQ大賞新人部門受賞の名取くるみ「もっと経験を積んで、いろんな人に知ってもらいたい!」
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第16回は、グラビアアイドルとしても活躍し、2021年にレースクイーンデビューを果たした名取くるみチャン。彼女が体験したレースクイーン業界とは?
RQインタビュー 2021 Vol.16 名取くるみ
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
レースクイーンを目指したきっかけというのは、人それぞれだが、最近は家族の影響でモータースポーツを知り、そこからレースクイーンを目指す人が増えている。2021年のスーパーGTでPacific Fairiesとして活躍する名取くるみさんも、そのひとりだ。
「父がモータースポーツ(二輪)をやっていて、それがきっかけで私もこの業界に興味を持ちました」
「物心がつく時から、父にサーキットとか走行会に連れて行ってもらっていました。私の小学校の送り迎えもバイクで、私がランドセルを背負ったままヘルメットを被って、父の後ろに乗って、家に帰っていましたね(笑)」と笑顔で幼少期の頃を振り返る名取さん。
実際に自身がバイクに乗ることにも挑戦してみたいと思ったそうだが、さすがに家族から反対されたそうだ。
「だから、小さい頃からバイクとかモータースポーツが身近にあって、関わりはありました。実際に私も乗ってみたいなと思いました」
「当時は免許が取れる年齢ではなかったので、ポケバイに挑戦したい!と言ったんですが、父もバイクで怪我をした経験があるので……母に猛反対されました(苦笑)。でも、いつかは乗ってみたいですね!」
最初は父親の影響でバイクやレースに関わっていたことが多かった名取さんだが、学生時代に転機が訪れる。父親が参加した“Taste of Tsukuba”でキャンペーンガールをしたことで、レースクイーンへの興味が湧いた。
「それこそ最初は、父をはじめ、父のつながりで交流のある人たちのレースを近くで見たいなという理由で、“Taste of Tsukuba”のキャンペーンガールのオーディションに受けようと思ったのが、いちばん最初のきっかけでした。そこから、徐々に興味が湧いて本格的にレースクイーンをやりたいなと思いました」
グラビアアイドルとして注目を浴び、2021年のミスFLASHグランプリを受賞した名取さん。その年にスーパーGTに参戦するPacific Fairiesとしてレースクイーンデビューを果たす。
コロナ禍ということで、レースウィーク中のイベントに制限はあるのだが、国内で最も人気あるレースに圧倒されている様子だ。
「やっぱり迫力が違いますね! いつも観ていたのが二輪のレースばかりだったので、レースに携わっている規模が全然違うなと思いました」
「ただ、コロナ禍でスーパーGTも通常通りの開催になっていないですし、ファンの皆さんとも十分に接することができていません。まだまだ私自身分からないこと、経験できていないこともあります。だから、まずは通常通りの開催に戻ってほしいなと思っています」
グラビアアイドルとして活躍する名取さん。レースクイーンとグラビアアイドルでは、“ポージング”の部分では役立つ部分もある一方で、悩むことも少なくないという。
「ポージングは、グラビアとレースクイーンとではぜんぜん違います。レースクイーンの場合は正面にしてもバックショットにしても“スッ”と立つイメージがありますけど、私は無意識的に(グラビア撮影のように)前かがみになってしまいます」
「あとで写真を見て『ヤバイな』と反省もしています。でも、カメラの前で自然にポーズができるという部分では役に立つ部分はありますね」
「グラビアの経験も少ないんですが、グラビアでミスFLAGH2021のグランプリを獲らせていただいて、それがきっかけでスーパーGTのレースクイーンになることができました」
「グラビアもそうですが、すべてのことが何かにつながっているし、必ず見てくれている人がいるんだなと改めて感じることができたので、ひとつひとつの仕事を蔑ろにしちゃいけないなと思いました」
今年夏に行われた日本レースクイーン大賞新人部門を見事受賞した名取さん。周囲からは祝福の声も多くあったというが、本人は“もっと努力をしなければいけない”と、改めて気づかされた瞬間だったという。
「新人賞の獲得については、もちろん、みなさんからの祝福の声もいただいて、すごく嬉しいです。でも、私の本音としては『おめでとう!』という感じではないんですよね」
「やっぱり“上には上がいる”という現実をみせられたので……。この結果を受けて『もっと頑張ろう!』という気になりました」
「日本レースクイーン大賞はもっと自分自身が経験を積んでから挑みたいなと思います。新人賞というのは一度しかチャンスがないので『やらないと!』という気持ちになりましたけど、大賞となると素晴らしい先輩の方達がたくさんいらっしゃるので、まずはそこに並べるようにもっと努力しなきゃなと思っています」
そんな名取さんの憧れは、元レースクイーンで、今は女優やモデルとして活躍している菜々緒さんだと語る。
「もっとたくさんの方に知っていただけるように、まずは自分自身、いろんなことで発信していくのが、いちばん大事だなと思っています」と、今後のレースクイーン活動に向けて、さらに意欲をみせていた。
■2021コスチュームギャラリー/名取くるみ
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.15 宮瀬七海/まさに“勝利の女神”という活躍ぶりの宮瀬七海「RQ1年目の私に教えてくあげたいくらい!」
Vol.14 荒井つかさ/レーシングミクサポーターズと言えば“つっつ”。9年連続で務める荒井つかさ「ミクサポは私にとって第二の青春!」
Vol.13 鈴木志歩/レースファンからレースクイーン。そしてマネージャーにも挑戦する鈴木志歩「毎週末が楽しい!」
Vol.12 太田麻美/レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
Vol.11 霧島聖子/憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
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Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/11/19
まさに“勝利の女神”という活躍ぶりの宮瀬七海「RQ1年目の私に教えてくあげたいくらい!」
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第15回は、Mobil1レースクイーンとD’stationフレッシュエンジェルズを2年連続で務める宮瀬七海チャンが登場します。人気ユニットを務めるまでに成長した彼女の想いとは?
RQインタビュー 2021 Vol.15 宮瀬七海
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru / Yoshita Tomohiro
2021シーズンもスーパーGTとスーパーフォーミュラではMobil1レースクイーンとして、スーパー耐久ではD’stationフレッシュエンジェルズとして活躍中の宮瀬七海さん。レースクイーン6年目を迎え、今ではトップユニットにも所属するなど、一目置かれる存在となっている。
2016年にレースクイーンデビューを果たした宮瀬さん。もともと父がクルマ好きで、子どもの頃は一緒にスーパーGTの観戦にも来ていたという。
「物心がつくまえからサーキットに行っていたので……それこそ、小さい女の子といえばリカちゃん人形で遊ぶというイメージがありますが、私の場合はクルマのおもちゃで遊ぶのが好きな子でした。それから(人気マンガ/アニメの)頭文字Dにもハマって、スポーツカーの名前も覚えるようになっていました」
「高校を卒業して進路をどうするかってなった時に、最初は整備士の学校に行きたいなと思っていました。でも、高校生の頃に爪とかも可愛くしていたから(周りの人から)“君みたいな子は絶対に整備士は無理だよ”と言われて(苦笑)。
「整備士は諦めて別の学校に進学したんですけど、それでもクルマに携わりたいという想いは変わっていませんでした。その時に、レースクイーンという職業を知って『やりたい!』と思ったんです」
レースクイーンとしてモータースポーツに携わることを決めた宮瀬さんだが、デビュー当初は厳しい現実に向き合うことになった。
「1年目とか2年目は本当にキツかったですね。オーディションもいっぱい受けて、いっぱい落ちました。でも、今思えば、それも納得できるというか、当時の自分に言い聞かせたい気持ちです」
「あの頃は自己PRも下手だったし、髪の巻き方とかメイクの仕方もうまくできていないところがあって、マネージャーさんにイチから教えてもらいました」
「すごくヘコんだ時もありましたけど、まわりの皆さんのおかげもあって、ちゃんと頑張ろうという気持ちになれました。いろいろな方に支えられて、けっこう恵まれていたなと思います」
「そこから自分磨きも頑張りました。最初の頃はポチャっとしていたんですが、ダイエットもしましたし、メイクとか髪色の勉強もしましたね」
思うような成果が得られず、デビュー当初は落ち込む日々を過ごしていたという宮瀬さんだが、地道な努力を重ねていき、昨年ついにMobil 1レースクイーンに就任した。
過去にはトップレースクイーンが活躍してきたレースクイーン界では名門ユニットのひとつであるのだが、宮瀬さんはこれまで培ってきた“自分らしさ”を前面に出し、サーキットでは元気よく活動している印象だ。
「最初はプレッシャーもありましたけど、『先輩たちの真似をするんじゃなくて、自分たちらしく、自分たちの色で頑張って』とモービルの方に言っていただけたので、それを大事にしています。歴代の伝統を背負いつつも、私らしく“元気”を前面に出す感じで……今は『あざと可愛い』担当で頑張っています!」
同時にMobil1レースクイーンになったことで、宮瀬さんはもうひとつの“夢”も叶えたという。
「実はお父さんがGT-Rに乗っていて、私が小さい頃もチャイルドシートをつけて乗せてくれていたんですね。それくらい、お父さんはニッサンが大好きなんです」
「いつか私もニッサンのチームのレースクイーンになりたいと思っていましたが、今はこうしてMobil1レースクイーンとして、カルソニック IMPUL GT-Rの一員になって……その夢も叶えることができました」
さらにスーパー耐久でD’STATIONフレッシュエンジェルズも2020年から務めている宮瀬さん。こちらでも、ずっと叶えたかった夢が実現している。
「私は踊ったりするのが好きなので、ステージの時間がすごく幸せな時間になっています。今はコロナ禍でいろいろな制限はありますけど、ファンの人たちとの一体感みたいなものはすごく好きです。ドリフトエンジェルス時代もそうですけど、ステージに立たせていただいたことは、私のレースクイーン人生の中で、本当に忘れられない瞬間なんです!」
興奮気味に話す表情からは、ここまでの自身の頑張りを、どこか誇らしく思っている印象だった。
そんな宮瀬さんだが、今シーズンは“勝利の女神”と言っても良いほど、彼女がレースクイーンを務めるチームが活躍している。スーパーGTではカルソニック IMPUL GT-Rが第5戦SUGOで5年ぶりの優勝を飾り、宮瀬さんも大号泣していた。
Mobil 1がサポートするSTANLEY NSX-GTが第4戦もてぎで優勝、ARTA NSX-GTも第6戦オートポリス、第7戦もてぎで連勝を飾るなど、快進撃が続いている。
スーパー耐久ではD’station Vantage GT3がST-Xクラスでシリーズチャンピオンを獲得。そして、先日のスーパーフォーミュラ最終戦ではcarenex TEAM IMPULが、11年ぶりにチームタイトルを手にした。
その瞬間すべてを現場で応援していた宮瀬さん。今まで経験してきた表彰台や優勝とは違った特別な瞬間を味わうことができたという。
「応援しているチームが表彰台に上がっている姿を見るのが、今年に入ってすごく多いです。チームのレースクイーンとしても嬉しいですし、いちレースファンとしても嬉しいです。こんなことが起きていいのかと思うくらい……いいことが巡っている気がします」
「スーパー耐久の時もそうですし、スーパーフォーミュラの時も泣きましたね。あらためてシリーズのチャンピオンを獲るというのは、ひとつのレースの優勝とは違うなと感じました!」
「もちろんシリーズチャンピオンを獲るのは大変なことですし、裏側ではいろんなことがあったんだろうなと想像して、なぜか私が号泣してしまっていました(笑)。 やりたいチームでレースクイーンができて、結果もすごく良くて……幸せです」
「特にスーパーフォーミュラは劇的な展開だったですし、私自身、IMPULというチームに憧れていた部分もありました。レースの時の真剣さがありますし、レース以外のときはすごくアットホームな感じがあって、すごく好きです」
「『やるときはやる!』という雰囲気ですし、その中で私たちも仲間として受け入れてくれている温かさがあって、大好きなチームで、応援にも自然と力が入ります。あのゴールの瞬間は……忘れられないです。感動しました!」
今シーズンはチームやファンにたくさんの笑顔を届けた宮瀬さん。もちろん、自分自身のレースクイーン活動でも、さらに上を目指している。
「やっぱり、今の自分じゃまだ足りないと思っているから、もっと上を目指して……。(先輩たちは)まだまだ届かない存在なんですけど、これからも頑張って追いかけたいです!」
“努力は裏切らない”という言葉があるが、今年の宮瀬さんの輝きぶりをみていると、まさにそれを証明していると言っても、過言ではないかもしれない。
■2021コスチュームギャラリー/宮瀬七海
■2021レースクイーンインタビュー
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Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
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Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/10/29
レーシングミクサポーターズと言えば“つっつ”。9年連続で務める荒井つかさ「ミクサポは私にとって第二の青春!」
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第14回は、レーシングミクサポーターズを務める荒井つかさチャンが登場します。ミクサポ―9年目となった彼女の変化とチームへの想いとは?
RQインタビュー 2021 Vol.14 荒井つかさ
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru / Yoshita Tomohiro
スーパーGTをはじめ、国内主要カテゴリーで活躍するレースクイーンの中には、同じチームを継続して務めるというケースもあれば、1年ごとに他のチームへ移るというケースもある。
全体の傾向をみると、同じユニットを継続するのは長くても3年というのが一般的だが、スーパーGTでレーシングミクサポーターズとして活躍し、2015年には日本レースクイーン大賞でグランプリに輝いた荒井つかささんは、2021年で9シーズン目を迎えている。
トップレースクイーンのひとりとして活躍する彼女が、9年間で感じた変化と思いを語った。
2012年にフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)のレースクイーンとしてデビューし“つっつ”の愛称で親しまれる荒井さん。当時は高校3年生ということで、新人ながら大きな注目を集めていた。
「当時は高校生でしたけど、学生の間だけ何か表に出る仕事をやってみたかったんです。それこそ、読者モデルとか。いろんな選択肢があったなかで、私の地元の群馬県館林市にレース関係者が多くて、そこで紹介してもらったのがレースクイーンのお仕事でした」
「実際にサーキットに連れていってもらったら『すごい!』って感動しましたね。こんなにキラキラした人たちがいるんだと思ったのと同時に、レースクイーンをやってみたいと思いました」
レースクイーンを始めてからは、プライベートで観戦に来ることもあった荒井さんだが、最初はモータースポーツにあまり興味がなく、レースクイーンの仕事をしていくうちに徐々に思い入れも強くなっていったという。
「1年目の時に在籍させていただいたチームがすごく強くて、ずっと表彰台に乗る活躍をしていました。最初はそれがすごいことは分からず『強いチームなんだな、この結果が当たり前なんだな』と思って見ていました」
「でも、なかには結果が出ないレースもあって、その時にチームの方がすごく悔しがっている姿を見て『当たり前じゃなくて、みんなで一丸となって、それがしっかり噛み合っているから勝てているんだ』というのに気づきました」
「それぞれのポジションでみんなが一生懸命やってきていたから、勝ち取ってこれた1位なんだなと……。そうしてチームの皆さんと一喜一憂しているうちに、レースがどんどん好きになっていきました」
「それから、自分が担当していないカテゴリーも気になるようになりましたし、関係者として一緒にレースを観て、応援できるのがすごく楽しいし、幸せだなと感じています」
「もともと私は幼稚園の先生になろうと思っていて、レースクイーンはあくまで経験として学生の間だけやれればいいなと考えていました。でも、いざやってみたらレースが好きになり、レースクイーンを続けたいと思いが強くなって……今に至ります(笑)」
荒井さんを語る上で欠かせないのが、2013年から在籍し、今年で9シーズン目を迎えるレーシングミクサポーターズでの活躍ぶりだ。今では、すっかり同ユニットの顔として定着している。
「他人事のようなコメントになりますけど……自分でも『すごいな!』と思います(苦笑)でも、本当にありがたいことです」
「今では、他のチームに行くというのが、考えられないですね。それくらい、このチームには思い入れもあります。本当に大好きなチームです」
同じチーム、さらに人気レースクイーンユニットを9年連続でレースクイーンを務めるというのは、ほとんど前例がない。それだけに、そのすごさを荒井さんも実感できない様子ではあったが、9年という時間の中で、自身の立ち位置を含めて、色々と変化していったものもある。
「初音ミクちゃんというのは(存在が)大きすぎて、そこになりきるみたいなプレッシャーはないんですけど、応援してくれている個人スポンサーさんたちに、いちばん近い存在だと思うので、ミクサポとコスポさんの間にいようと思います。他のメンバーは変わっていくので、そこを私が率先してやらなきゃと常に思っています」
「最初は立ち居振る舞いとか、どちらかというと自分を中心にどうしていこうかを考えていましたけど、年数が経っていくうちに、意識が後輩にいくようになりました。『こうなってほしい』とか『こういうふうにチームを応援してほしい』とか、そういう気持ちが強くなりましたね」
「だから、後輩に対して色々と教えるようになりましたね。他のチームがどうなのかわからないですけど、たぶん他のチームより教えるのが厳しいと思います。レースクイーン同士、けっこう仲良く和気藹々という感じもありますけど、うちのチームはけっこう厳しくて、最初の方は裏で泣いているような子もいます……(苦笑)。そういったことを経験していって、成長したその子の姿を見た時は、こっちまで嬉しくて泣いてしまいます」
「チームが好きな分、一緒に応援するからには、一生懸命応援してほしいですし、そういう気持ちも大きくなります。意外とミクサポは“タテ社会”です(笑)」
他のメンバーとGOODSMILE RACING & Team UKYOを応援し続けてきた荒井さん。チームは、この9シーズンの間にGT300クラスで2度チャンピオン獲得したほか、スパ24時間レースなど海外のレースにも挑戦してきた。
その中で、最も印象に残っているレースについて聞くと、荒井さんは2018年の鈴鹿10Hを挙げた。
「あのレースでは、夜になるとグランドスタンドにいる皆さんがスティックライトで応援してくれるんですけど、ちょうどレース終盤で他のチームから追い上げられている時に、実況のピエール北川さんが『ライトを緑色にして、みんなで初音ミクを応援しましょう!』って言ってくれて、グランドスタンドが緑一色になった時は、すごく感動しました!」
「私が現地で応援させていただいた中で、10時間耐久というのがいちばん長かったレースでした。その中で、すごいドラマがあるなとも感じました。こんなに頑張って走ってきたものが、ひとつのミスやトラブルでなくなってしまうかもしれなくて……。応援している側も怖かったです」
「心配しながらの応援でしたけど、いちばん最後に疲れも出てきて大変な時に、観客席の皆さんが緑一色で応援してくださったのを見て……胸がいっぱいで涙が止まりませんでした。10時間が報われたというか、こんなにたくさんの人から愛されているチームなんだなと改めて思いました。あれは今でも鮮明に覚えています」
数え切れないくらいの喜怒哀楽を、チームとともに経験し、その想いを共有してきた荒井さん。彼女にとって、レーシングミクサポーターズとはどういう存在なのだろうか。
「第二の青春ですね! 学生時代も楽しかったですけど、その時に感じた感動とか、辛さ、大変さがある中でも、楽しいと思える……そんな時間を、このミクサポでもう一度味わわせてもらっています」
「だからこそ、経験を重ねるにつれて責任感も出てきました。もし私が何か変なことをしたら、それがミクサポの評判に響いてしまいます。そこは年々考えるようになりましたし、これはミクサポだけじゃなくて、レースクイーンみんなに思ってほしいことですね」
「世間からすれば、レースクイーンのイメージは、あまり良いものではないところもあります。それをみんなが憧れる職業にしていきたいですし、女の子に憧れられるような職業になってほしいなと思いますね」
レーシングミクサポーターズのみならず、国内モータースポーツのレースクイーンを代表する存在でもある荒井さん。そのポジションを自身でも、分かっているからこそ、今日も強い意識と、誇りを持って、サーキットに立っている。
■2021コスチュームギャラリー/荒井つかさ
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.13 鈴木志歩/レースファンからレースクイーン。そしてマネージャーにも挑戦する鈴木志歩「毎週末が楽しい!」
Vol.12 太田麻美/レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
Vol.11 霧島聖子/憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
Vol.4 引地裕美/憧れだった舞台に自分が立つ……フレッシュエンジェルズ2年目の引地裕美が常に心がけていること
Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/10/12
レースファンからレースクイーン。そしてマネージャーにも挑戦する鈴木志歩「毎週末が楽しい!」
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第13回は、TWSプリンセスを務める鈴木志歩チャンが登場します。今シーズンは、スーパー耐久でチームマネージャーも兼務する彼女のレースへの想いとは?
RQインタビュー 2021 Vol.13 鈴木志歩
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru / Yoshita Tomohiro
昨今の国内モータースポーツ界では、レースクイーンとして活躍した人が、レースクイーンを引退後にどこかのチームに所属してマネージャーや、レースクイーンコントローラーをする人が増えている。
そんな中、今季スーパーGTでTWSプリンセスとして活躍する鈴木志歩さんは、スーパー耐久では林テレンプSHADE RACINGでマネージャーを務めている。同じシーズンに“レースクイーンと“マネージャー”を兼務するというのは非常に珍しいケースだ。
名古屋出身の鈴木さんは、父親がレース好きということもあり、小さい頃からモータースポーツに触れる機会が多かったという。
「父の影響でレースが好きになって、小さい頃からサーキットに連れていってもらっていました。実家が名古屋なので、レース観戦をするといえば鈴鹿サーキットでしたね。最初にF1を観にいったのがきっかけでモータースポーツに興味を持ちました」
「スーパーフォーミュラとかも観に行きましたし、それこそスーパーGTの鈴鹿1000kmも現地で観戦しましたよ」
多い時には年に数回は家族とともに鈴鹿サーキットに訪れ、レースを観戦していた鈴木さん。そこから、徐々にレースに携わる仕事がしたいと思うようになり、まずはレースクイーンを目指したという。
「自分も何か(レースの仕事に)携わりたいと思って、レースクイーンを目指したんですけど、まずはサーキットクイーンもやってみたいなと思って、最初は岡山国際サーキットのサーキットクイーンを2年間やらさせていただきました」
「その後、レースクイーンをやろうと思ったんです。もともと個人的に応援していたニスモのチームでレースクイーンをしたいという思いがあったので、その希望を事務所に伝えて、オーディションを受けました」
その願いが見事叶い、鈴木さんは2018年からJATCO Fan-Fun girlに抜擢され、名門ニスモのレースクイーンを2シーズン務めた。憧れだった場所に立つことはできたのだが、逆にそこでレースの“過酷な現場”も目の当たりにした。
「思っていた以上に現場は過酷だなと思いました(苦笑)。今までは外側しか見ていなかったので、チームの人が実際にどういうふうに動いていたとか、メカさんが暑い中でも時間ができたら(ピット作業の)練習をしている姿を間近で見て……すごく驚きというか、予想外な感じはありました」
「やっぱりお客さんで観ていた時とは違いますね。ルールもある程度知っていたんですけど、チームの一員として応援するとなると立ち位置が全然違うことを感じました」
「外から見ていてもスゴいな!と思っていたんですけど、実際に近くで見て、よりカッコいい!とも思いましたね。だからこそ、ルールを細かいところまで把握して、自分も一緒にがんばりたいなと思いましたし、チームの皆さんのがんばる姿をみて、もっとレースが好きになり、より多くの人にレースのことを知ってもらいたいなと思いました」
実際にレースクイーンとしてチームに近いポジションに立ったことで、よりレース好きになった鈴木さん。その気持ちが高じて、今度はマネージャーに挑戦することになったのだ。
「レースに携わる仕事がしたいと思っていたので、以前からチームのマネージャーもやりたいなと考えていたんですが、レースクイーンをやっていくうちに、その思いが強くなった部分もあります」
マネージャーとして携わるスーパー耐久では、ST-Zクラスにエントリーする885号車林テレンプSHADE RACING GR SUPRA GT4のドライバーサポートを担当している。まだまだ覚えなければいけないことが多く、悪戦苦闘の日々が続いている様子だ。
「全部が初めてなので、大変といえば大変ですね。常にドライバーさんに気持ちよく走ってもらうために、気を配らなければいけないところは難しいです。でも、すごくやりがいを感じています。直接チームの一員として、より近くで携われますからね」
この他にも、レースクイーンの場合は基本的にレースが開催される土曜日と日曜日のみサーキット滞在となるが、マネージャーになると水曜日にサーキット入りして設営・準備を行い、レース後も遅くまで撤収作業があるため、帰宅できるのは翌日の月曜日になるという。
レースクイーンとは違った大変さがあるマネージャーの仕事。それをひとつひとつ覚えながら業務をこなす鈴木さんだが、シーズンの中で最も過酷と言われる富士24時間レースを経験した時は、これまでにない“やりがい”を感じたようだ。
「富士24時間の時は、15分くらいしか寝なかったです(苦笑)。でも、ゴールした時の達成感はすごかったですね。あれはレースクイーンの時に味わえる達成感とは少し違う気がしました」
「レースクイーンもチームの一員ではありますが、マネージャーの方がより近い距離で深く関わることができます。そこが大きな差だなと思います。だから、今は充実していますね(笑)。本当に毎週末が楽しいです!」
満面の笑みで語ってくれた鈴木さん。小さい頃から通い続けていたサーキットが、今は彼女にとっては“最高の居場所”のひとつになっているようだ。だからこそ、昨年はコロナ禍の影響で、スーパーGTのシーズン前半はレースクイーンも入場できないなど厳しい人数制限が設けられた。
その時に、サーキットに行けない悔しさを彼女も痛感したとのこと。それだけ、今は毎週のようにサーキットに行けることのありがたさを感じている。
「今はサーキットに行くのが普通になっていますけど、昨年とかはコロナとかで行けない時期もありました。その頃はすごく不思議な感じだったし、自分自身サーキットに行けないことが悔しかったですね」
「改めてお客さんがいる中で開催するというのは大事なことなんだなと思いました。今年は、お客さんが入ってレースも無事に開催されています。そんな中で私もサーキットに来ることができて、より充実した気分になっています」
2021シーズンも残り少なくなったが、スーパーGTでは“レースクイーンとして”、スーパー耐久では“マネージャー”として輝く鈴木さん。今後の彼女の活躍から目が離せない。
■2021コスチュームギャラリー/鈴木志歩
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.12 太田麻美/レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
Vol.11 霧島聖子/憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
Vol.4 引地裕美/憧れだった舞台に自分が立つ……フレッシュエンジェルズ2年目の引地裕美が常に心がけていること
Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/10/02
レースクイーンコスチュームはもうひとりの自分になれる……太田麻美が語るコスチューム姿でのこだわり
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第12回は、KOBELCO GIRLSを務める太田麻美チャンが登場します。様々な人気レースクイーンユニットを務めた彼女のレースクイーンに対する想いとは?
RQインタビュー 2021 Vol.12 太田麻美
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
ファン投票で人気No.1レースクイーンコスチュームを決定する日本レースクイーン大賞2021コスチューム部門が今年も開催され、レースクイーンたちの仕事着である“レースクイーンコスチューム”に注目が集まる季節となった。
レースクイーンにとって、サーキットでの大事なアイテムといえば、彼女たちが着るコスチュームが真っ先に挙げられる。最近では、様々なコンセプトでコスチュームがデザインされており、そのチームやスポンサーに合った色はもちろんのこと、長年伝統として受け継がれているデザインもあれば、最近のトレンドに沿ったもの、そしてコラボレーションしているキャラクターに似せたコスチュームも登場している。
「コスチュームを着るとスイッチが入りますね。もうひとりの自分……じゃないですけど、気が引き締まります」
そう語るのは、2021年のスーパーGTでKOBELCO GIRLS、スーパー耐久ではMEGALiFe girlsとして活躍する太田麻美さん。昨年の日本レースクイーン大賞コスチューム部門で、KOBELCO GIRLSとしてグランプリを獲得している。
自身のコスチューム姿を常にまわりから見られているという意識でサーキットでは活動しているという太田さん。日頃から自身の体型維持にはストイックにやっているようだ。
「レースクイーンは、サーキットでコスチュームを着て、ファンの方はもちろん、スポンサーやチーム関係者などいろいろな方に見られます。なので、自分の身体の管理はちゃんとするようにしています」
「自分の中で憧れている“理想像”みたいなものがあって、見た目はしっかりしなきゃということで、体型維持はすごく意識していますね」
太田さんは、2015年にZENTsweetiesの一員としてレースクイーンデビュー。いきなり業界の中でも一目置かれるトップユニットに入ったとあって注目を集めたが、元々はモデルの仕事を志望しており、その当時はレースクイーンの活動を1年限りに留めるつもりだったという。
「元々は芸能事務所に入っていたんですけど、お仕事がなかなかうまくいかなくて、何か新しいチャレンジをしたいなと思っていました。その時に、友人からZENTsweetiesのオーディションがあることを聞いたんです」
「ZENTsweetiesといえばレースクイーンの中でもトップのユニットです。友人からの話を聞いて『それ、受けたい!』と思って、受けることを決意したのがきっかけでした」
「でも、その時はモデルの仕事とか『芸能界で頑張りたい!活躍したい!』という想いがあって、レースクイーンは1年で辞めてしまいました」
2016シーズンは、サーキットに登場することはなかった太田さん。しかし、様々な縁もあり、翌2017年にはレースクイーンの活動を再開した。そこからは、LEON RACING LADY、au circuit Queen、D’stationフレッシュエンジェルズと、トップユニットを渡り歩いた。
「フリーでいろいろ活動をやっていたんですけど、今の事務所の社長さんに声をかけていただいて、アイズに入りました。それと同時に、事務所から『またレースクイーンをやってみないか?』というお話をいただいて、再びレースクイーンとして活動することを決めました」
「ありがたいことに、これだけ機会をいただいて、そこからはいろいろなチームでやらせていただきました。『これだけ人気のチームを全部やっているのは、あさみんくらいじゃない?』とまわりの子からも、すごく言われますね。でも、それはすごく誇りに思います」
レースクイーンとして、人気チームを渡り歩く中で、少しずつサーキット内での立ち居振る舞いやファンとの接し方も変わっていったという。
「(レースクイーンは)やっぱり、ファンありきの職業だと思っています。新人の時とかは菜々緒さんに憧れてやっていた部分もあって、当時は話しかけづらいオーラが出ていたとファンの方からもよく言われます」
「正直、その時は私も(ファンとの)接し方がわからなかったんですけど、経験を積んでいくうちにファン対応というか、ファンの方とのコミュニケーションは積極的にとるようになりましたね」
レースクイーンでのキャリアを積み重ねていき、GOODRIDE日本レースクイーン大賞2018では、週刊プレイボーイ賞を獲得。同誌のグラビアを飾った。密かにこの賞を狙っていたという太田さんにとっては、ひとつ目標が叶った瞬間でもあった。
翌年の2019年にはD’station フレッシュエンジェルズに加入。ここで、太田さんは同ユニットをプロデュースする南香織さんと出会う。
「フレッシュエンジェルズはアイドルの色が強くて、まわりの子と良い意味で競うというチームが私にとっては初めてでした。例えば物販で自分のグッズが売れ残ったりすると、けっこうメンタル面でやられてしまう時もあって、メンバーが見ていないところで、泣いていたりしたこともありました」
「でも、そういう時に絶対に気づいてくれて、追いかけてきてくれて、話を聞いてくれたのが、香織さんなんです」
そう語った太田さん。このシーズンは、南さんの細かなフォローに何度も救われ、自身のモチベーション向上のきっかけにもなったという。
「香織さんがいてくれることで、すごくプラスになれます。落ち込んでいる時とかに親身になって話を聞いてくれて、アドバイスもしてくれます。それで『もっと頑張ろう!』と思えました」
「香織さんには、すごくお世話になって……『恩返しをしたい!』という思いは常に持っていました」
その“恩返し”のチャンスは程なくして訪れる。太田さんは、2020年に南さんがコスチュームのデザインを務めるKOBELCO GIRLSの一員となる。
この年は、南さんがデザインを始めてちょうど10年の節目。“何としてもグランプリを獲りたい!”という想いで、チームメンバーと努力を重ね、見事2020年の日本レースクイーン大賞コスチューム部門でグランプリを勝ち取った。
「SARDは今までコスチュームGPを獲ったことがなかったですし、あの時は(南)香織さんがコスチュームをデザインして10周年の年でもありました。『SARDのために、香織さんのために何としても獲りたい』という想いが強かったです」
「(投票期間中は)自信はありましたけど、やっぱり賞レースって何が起こるかわからないじゃないですか。だから、すごく不安もありました」
「でも、みんなのがんばりをちゃんと形に残せてよかったです。私たちメンバーだけではなくてファンのみなさんと獲ったものなので、グランプリになった時は嬉しかったです」
そして、2021年。太田さんはレースクイーンのキャリアの中で、初めて“同じチームで2年目”を迎えている。今ではTGR TEAM SARDの一員として活躍するレースクイーンのひとりとして、すっかり定着している。
「私にとっては(同じチームで)初めての継続なんです! やっぱりSARDは名門だし、コスチュームが可愛いし、人気のレースクイーンの子たちも経験しているチームで、みんなが(SARDのレースクイーンを)やりたいと思っています」
「その一員になれたのはすごく嬉しいです。でも、ファンの皆さんの応援もあってだと思うので、これからも恩返ししていけたらなと思います。これからもずっと続けていきたいなと思うくらい、大好きなチームです」
さらに、太田さんはモータースポーツを知らない人にも、レースクイーンの魅力を伝えられるように、今後も努力して生きたいと語った。
「いつもサーキットに来てくれるファンの方はもちろんそうなんですけど、それだけじゃなくてモータースポーツを知らない方たちにも『レースクイーンは素敵だな』と思ってもらえるようなレースクイーンを目指しています」
今シーズンも残りわずかとなったが、太田さんのサーキットでの活躍から、目が離せない。
■2021コスチュームギャラリー/太田麻美
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.11 霧島聖子/憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
Vol.4 引地裕美/憧れだった舞台に自分が立つ……フレッシュエンジェルズ2年目の引地裕美が常に心がけていること
Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”
2021/09/10
憧れのキャラクターになりきるため、応援するチームが勝利を手にするため……霧島聖子が語る“プロとしてのこだわり”
今シーズン、サーキットに登場するレースクイーンに迫る「RQインタビュー」。第11回は、人気ユニットのWedsSport Racing GalsとエヴァンゲリオンレーシングRQを務める霧島聖子チャンが登場です。グラビアでも活躍する彼女のレースクイーンとしてのこだわりとは?
RQインタビュー 2021 Vol.11 霧島聖子
Text:Yoshita Tomohiro
Photo:Tabuchi Satoru
後半戦へと突入した2022シーズンの国内モータースポーツ。今年も各カテゴリーで多くのレースクイーンが活躍し、コロナ禍で制限はあるもののサーキットに華を添えている。今回のRQインタビューでは、今やレースクイーンのみならず、グラビアアイドルとしても活躍する霧島聖子さんにスポットを当ててみた。
2021シーズンのモータースポーツでは、スーパーGTでは2021 WedsSport Racing Galsに抜擢され、スーパー耐久とD1グランプリではエヴァンゲリオンレーシングRQ2021 (真希波・マリ・イラストリアス役)として活動している。
これまではSUBARU BRZ GT GALS BREEZEやD’STATIONフレッシュエンジェルズなど、人気レースクイーンユニットでの経験を持つほか、最近ではスーパーGTのGT500クラスのレースクイーンを務めるなど、実績も豊富だ。
そんな彼女だが、2021シーズンは密かに抱いていた“夢”をサーキットで叶えることができたという。それがエヴァンゲリオンレーシングRQになったことだ。
「私、趣味はゲーム・アニメ・コスプレなんですけど、その中でもアニメは小さい頃から本当に大好きだったんですよね。エヴァンゲリオンシリーズもずっと観ていて、追っていた作品だったので……エヴァRQになることが夢だったんです!」
「ここまで作品に登場するキャラクターに合わせて、こだわっているコスチュームもなかなかないです。やっぱりレースを知らない友達とかも、エヴァンゲリオンレーシングのことは知っているので、その一員になることができて、本当に最高ですね」
今年の3月に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの最終作が公開され、25年続いたシリーズが完結を迎えた人気アニメのエヴァンゲリオン。
そのタイアップとしてプロモーションタイアップとして2010年に誕生したのがエヴァンゲリオンレーシングだ。スーパーGTや鈴鹿8耐などに参戦し、2021年はD1GPとスーパー耐久にシリーズ参戦する。
今年、霧島さんは真希波・マリ・イラストリアス役に抜擢。実際のキャラクターはふたつに分けた赤茶色のロングヘアと赤縁のメガネをかけているのが特徴だが、そこもこだわりをもって再現している。
「やっぱり、自分のこだわりでもあるんですけど(キャラクターとは)外れた色にはしたくないんですよね。マリの髪色が赤系の茶髪なので、こういう色にしています」
「カラコンもあまり派手すぎるとコスプレ感が強くなるので、このコスチュームに合わせた“マリっぽい”カラコンをつけています。ファンの方からみても『マリだ!』って思ってもらいたいですからね」
そういった細部へのこだわりが功を奏し、開幕戦から周囲の評価も上々だという。
「エヴァンゲリオンレーシングRQになるという発表があった時は、あまり(マリの)イメージがないと言われていました。でも、実際にコスチューム姿で登場したら『ありだよね!』という声をメディアさんだったり、友達からも言ってもらいました。その度に心の中でガッツポーズしています」
今シーズンはスーパーGTでも、WedsSport Racing Galsとして活躍中の霧島さん。同カテゴリーでのレースクイーンは6年目となるのだが、国内最高峰のレースで、チームにいちばん近い位置で応援できることに、喜びとやりがいを感じているという。
「私は2016年からスーパーGTのレースクイーンをしていますが、最初の2年はSUBARU BRZ GT GALS BREEZEを務めさせていただきました。あそこはチームとファンとの一体感がすごいんですよね。そこで近くで応援することで、チームの皆さんの想いだったり、努力だったりというのを身近に感じることができて、その気持ちが報われる瞬間というのも、すごく感動的です。やはり、チームの近くで応援できるというのがレースクイーンの特権ですね」
「2019年からGT500クラスのレースクイーンを務めさせていただいていますが、その最初の年に応援したチームがチャンピオンを獲ったんです。それを間近で応援できたことが嬉しいですし、今年の第2戦富士で19号車がポールポジションを獲ったので、その時も嬉しかったです」
「あと、これもレースクイーンの特権ですけど、(スタート進行で)グリッドボードを持っていて、マシンがグリッドに着く瞬間は、本当に特別な瞬間で、いつも泣きそうになるんですよね。あれは、レースクイーンしか見られない光景ですし、改めてレースクイーンをやっていて良かったなと思いました」
「レースクイーンは華やかなだけではない部分もありますが、すごくやりがいがあるなと思っています。憧れている以上に楽しい仕事なんだなと感じています」
応援するチームが活躍するように、スポンサーのPR面はもちろんだが、サーキット内での一挙手一投足にもこだわりを持っている霧島さん。特にレース前のグリッドでは、メディアやファンの写真撮影の対応をするのも仕事なのだが、同時にドライバーに傘をさす役割も担っている。
「これはドライバーさんに言われて気づいたことなんですけど、タイのラウンドだったりとか、真夏の時は、頭に日が当たらないようすることを気にして傘をさしていました」
「でも、なかには照り返しで暑いから、足の方もカバーしてほしいと言われたことがありました。だから、暑い時は頭だけじゃなくて足元にも日差しが当たらないように気にしたりするようにしています」
「あとスタート進行の時は、レースに向けて気持ちを切り替えていくドライバーさんが多いと思うんですね。私も、そこは大事にしたいと思っています。ドライバーさんができるだけ集中できるように、気配を消すような感じにしています」
こういった細かな気配りが、最終的に勝利につながっていく原動力のひとつになっているのかもしれない。
現状に満足せず、さらに新しいことを吸収して成長しようとしている霧島さん。レースクイーン歴も多くなってきたこともあり、今後は後輩を引っ張っていく存在になりたいと語った。
「レースクイーン6年目になるので、まわりの子のお手本になりたいなと思っています。エヴァンゲリオンRQの中でも、私が最年長で歴もいちばん長いはずです。なので、みんなをまとめたり、リーダーシップみたいなものを身につけていきたいですね。それと同時に、またチームのそばで勝利を願っています!」
ファンへの対応のみならず、チームの一員としてレースクイーンがどう関わり、役に立つことができるかを常に意識している霧島さん。きっと、このスピリッツは、後輩たちにも受け継がれていくことだろう。
■2021コスチュームギャラリー/霧島聖子
■2021レースクイーンインタビュー
Vol.10 阿比留あんな/“アイドルになる”という夢をサーキットで叶えた阿比留あんな「私にとって最高のポジション!」
Vol.9 安田七奈/「今の私があるのはドリエンのおかげ……」安田七奈が明かした憧れのチーム加入への道のり
Vol.8 近藤みやび/コロナ禍で自問自答したRQの存在意義……「日本のモータースポーツを盛り上げたい!」近藤みやびの秘めたる想い
Vol.7 小越しほみ/体調不良を乗り越え、もう一度サーキットへ……小越しほみ「ファンの皆さんがずっと励ましてくれたから、また帰ってきたかった」
Vol.6 あのん/今ではレースの魅力にどっぷり! 2020年の日本RQ新人部門グランプリあのん「ファンの皆さんにもレースを楽しんでほしい」
Vol.5 綾瀬まお/コスプレイヤーからレースクイーンへ……綾瀬まおが語るRQの難しさとレースの魅力
Vol.4 引地裕美/憧れだった舞台に自分が立つ……フレッシュエンジェルズ2年目の引地裕美が常に心がけていること
Vol.3 相沢菜々子/後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”
Vol.2 桃原美奈/あの“レジェンドレースクイーン”桃原美奈が限定で現役復帰「多くの人にレースの魅力を伝えたい」
Vol.1 林紗久羅/ファンとチームの架け橋に……RQ歴10年目の林紗久羅が“大切にしていること”